研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
25109709
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松井 龍之介 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452225)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メタマテリアル / テラヘルツ / 有機半導体 / 電荷移動 / フタロシアニン |
研究概要 |
メタマテリアルによれば、負の透磁率・屈折率など従来の光学の常識を遥かに超えた機能を発現する光学材料・素子が実現できる。本研究では、有機半導体/無機半導体積層構造における光誘起金属応答を利用した、任意構造の書き込み・制御可能なテラヘルツ・メタマテリアルの創出を目的としている。有機半導体としては銅フタロシアニン(CuPc)、無機半導体としては高抵抗シリコン(Si)を用い、2層積層構造におけるテラヘルツ電磁波透過の光変調を試みた。CuPc薄膜は真空蒸着法により成膜し、熱アニールを施す。Siのみに比べ500nm以下の薄いCuPc層を成膜した方が高い透過変調度を示し、またその変調度はCuPc層膜厚に強く依存することを見出した。さらにCuPc/Si試料表面にスーパーインクジェット工法により銀インクからなるスプリットリング共振器(SRR)アレイを作製し、その透過特性評価と光変調を試みた。設計したSRRアレイは0.32THzに磁気共鳴、0.85THzに半波長共鳴を示す。Si上に作製したSRRアレイに比べ、CuPc/Si上に作製したSRRアレイの方が高い変調度を示したが、観測全周波数領域において透過が変調される結果となった。テラヘルツ変調デバイスのためには磁気共鳴や半波長共鳴のみを選択的に変調できる方が望ましいと考え、SRRギャップ部分のみにCuPcを導入する素子の作製と透過特性の解析を行なった。CuPcはマスクを介しパターン蒸着を行なった。磁気共鳴や半波長共鳴のみを選択的に変調するような結果は得られなかった。熱アニール後のCuPcに変形が見られ、効率的な変調が得られなかったものと考えられ、素子作製プロセスに課題が残る。CuPcの他にも塗布形成可能な有機半導体材料も試みており、CuPcにはやや劣るものの同様の光変調を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CuPc/Siにおいてテラヘルツ透過の高い光変調を得るためには、CuPc膜厚が重要なパラメーターであることを見出した。磁気共鳴や半波長共鳴のみを選択的に変調するような素子の実現には素子作製プロセスの改善が必要である。CuPc以外にも塗布型の有機半導体においても変調が得られることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
素子の作製プロセスを見直し、磁気共鳴や半波長共鳴のみを選択的に変調するような素子の実現を目指す。また、高配向性の有機半導体やキラル分子導入などにより、偏光状態の光変調も可能な素子についてもあわせて試みる。
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