研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
25109712
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
石原 一 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60273611)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メタマテリアル / プラズモン / WGM / ナノギャップ / コットン・ムートン効果 / 磁性誘電体 / 非相反光伝播 |
研究概要 |
25年度は金属アンテナと量子ドット、分子等が結合した場合にエネルギー透明化が生じるユニットが配列構造をなした際にどのようなメタマテリアル的機能を発現するかを追求したが、その前段階として、このユニット単体としてさらに次のような機能を明らかにした。すなわち、アンテナと分子が結合した際に電場の局所的空間構造により禁制遷移が生じることを金属ダイマーと結合するカーボンナノチューブの系で理論的、実験的に明らかにした。また同様の系でカーボンナノチューブに特異な非局所応答が生じること、さらに2光子上方変換の特異な増強が生じることを理論的に明らかにした。また、配列構造については、まず二量体について調べ、ナノギャップに置かれた分子が離れていても特異な相関が生じることを示した。 また、ウィスパリング・ギャレリー・モード(WGM)共鳴を有する磁性誘電体が配列した際の非相反的光伝播を調べているが、25年度は誘電率非対角項実部があれば 2D フォトニック結晶のバンドに非相反性が生じること、さらに誘電率非対角項実部を有する円筒を配列させ、幾何学的共鳴と結晶構造共鳴を組み合わせることにより、光の進路を非相反的に曲げることが可能であることを理論的に示した。さらに誘電率非対角項を実にするための外場印加の条件を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エネルギー透明化現象を起こすユニットの特性について、禁制遷移、単一光子レベルでの上方変換効率の増大、単一分子での非局所応答など、想定を超えた多様な効果が明らかになったが、一方で、の周期構造についての理論の定式化がやや遅れた。また光の非相反的伝播を実現するための誘電率非対角項の符号制御について、新しい知見を得たことは予想を超えた大きな進展であったが、一方で、ユニットをランダム配列した際の計算手法の開発が遅れた。これらのことを総合的に考え、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
金属透明化ユニットの配列効果について: 電子的共鳴とプラズモン共鳴のインタープレイによりエネルギー透明化を起こすナノユニットを配列した場合のメタマテリアル効果を引き続き明らかにしていく。特にユニット間相互作用が全体の共鳴構造にもたらす効果、吸収体が発光する場合の(超蛍光等の)協力現象の相乗効果が系全体の光学現象に及ぼす効果を系統的に調べ、多重共鳴型メタマテリアルの可能性を明らかにしたい。プラズモン共鳴のユニット間相互作用は各ユニットにおける分子間の相関を強く引き起こすため、二重共鳴と協力現象の著しい発現が期待される。 磁性誘電体配列構造における二重共鳴メタマテリアル: ウィスパリング・ギャラリー・モード(WGM)共鳴を有する磁性誘電体を配列した場合、コットンムートン効果がフォトニック結晶効果で特異的に増強する可能性がある。本課題では、このことを利用した新奇な光伝播制御システムの提案を試みている。これまで、幾何学的共鳴である WGM において、コットンムートン効果に非相反性が生じること、誘電率非対角項実部があれば 2D フォトニック結晶のバンドに非相反性が生じること、さらに誘電率非対角項実部を有する円筒を配列させ、幾何学的共鳴と結晶構造共鳴を組み合わせることにより、光の進路を非相反的に曲げることが可能であることを理論的に示してきましたが、26年度は、さらに吸収に抗して誘電率非対角項実部を増大させ、非相反性を増幅するためのエネルギー印可型メタマテリアルの可能性を追求する。具体的には、カイラル電流に対する回転ドップラー効果に着目した、新しい偏光選択的光増幅過程の可能性を理論提案する。
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