研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
25109713
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
井村 考平 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80342632)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | メタマテリアル / プラズモン / 近接場光学 / 非線形分光法 / ダイナミクス |
研究概要 |
本研究では,メタマテリアルの構成要素であるプラズモンのモード間相互作用を実空間実時間で可視化し,相互 作用がメタマテリアルの機能に及ぼす効果とその機構を解明することを目的としている。本年度は,ガラス基板上に周期ナノ構造およびランダムナノ構造体を作製し,その特性を近接場光学顕微鏡により可視化しプラズモン間のカップリング機構の詳細を解明することを目標とした。これを実現するために,金薄膜に励起される伝播型プラズモンと局在型プラズモンの相互作用を近接場光学顕微鏡の(I)イルミネーション,(C)コレクション,散乱(S)の3つのモードで測定した。透過およびに非線形光学測定の結果は,可視化される像が測定モードに依存して変化することが明らかとなった。例えば,Iモードで得られる像は,Cモードの像に比べてシャープな特徴が多く可視化されること,伝播型プラズモンと局在型プラズモンの相互作用を考慮しないと説明できない特性が存在することが明らかとなった。 上記以外に,ナノ空間領域でのバビネの原理の検証を行うため,金薄膜に微小開口をもつ構造体(長方形ボイド)とそれと相補的な形状を持つ構造体(ナノワイヤ)を作製し,その近接場分光特性を研究した。バビネの原理は,メタマテリアルの設計において基礎となる原理の一つである。これがマイクロ波の領域で成立することは明らかとなっているが,可視域での有効性については不明である。可視領域でのメタマテリアルを実現するためには,ナノ空間領域での有効性をまず明らかにする必要がある。ボイドとワイヤに対して行った透過スペクトル測定の結果は,概ねババビネの原理から予想される結果と一致する。しかし,短波長側での振る舞いや励起されるモードの空間構造については,バビネの原理で説明できないことが明らかとなっている。この不一致の原因を究明するため,より精密に作製した試料を用いた測定を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数のモードで試料の同一領域を測定するためには,装置に高い安定性が必要であり,幾つかの改善点が存在することが事前に明らかとなっていた。これらの対策を講じることで,問題点を克服し概ね所期の目標を達成することができた。測定試料は,目的に応じて,自作また外部研究機関に依頼し作製した。これにより研究を効率的に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまで概ね計画通りに研究が進んでいる。本年度は,領域内での新たな共同研究に着手するため,研究協力者を追加し効率的に研究を推進する計画である。
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