研究概要 |
平成25年度は、まず、Danielache, et al. (2012)以降に公開されたPriyadarshi et al.(2013)をもとに、関東地方と福島県内で観測された放射性硫黄同位体(35S)のデータから天然由来の35S を差し引き、福島原発事故由来35S のデータアーカイブを作成した。 次に、得られたデータセットをもとに、Danielache, et al. (2012)の実験を7月中旬まで延長させた実験を各放出量ごとに4ケース行い、また4月以降の放出を0とした実験も行った。得られた計算結果とデータアーカイブとの比較から、Danielache, et al. (2012)よりも、高精度な35S放出量と中性子放出量の見積もりを行うことができた。本研究のモデルでは、2011年3月23日から4月1日の期間の福島原発からの35Sの放出量は約1000×1013 atoms s-1であり、4月下旬には数1/1000まで減少したと見積もられた。また、同実験結果と福島県内で観測された35S濃度との比較をもとに、福島県内における硫酸塩エアロゾル態35Sの再飛散率を見積もった。その結果、福島県内の地表面に沈着した硫酸塩エアロゾル態35Sのうち、約半数が再度飛散している可能性が示唆された。さらに、今年度は、Danielache, et al. (2012)のモデルに硫酸塩エアロゾル生成過程の導入に着手した。
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