研究領域 | 福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態に関する学際的研究 |
研究課題/領域番号 |
25110506
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90444207)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | セシウム / 粘土鉱物 / ため池堆積物 / 分散・凝集 |
研究概要 |
福島第一原発周辺土壌では、細粒な粘土鉱物に放射性セシウムが取り込まれていることが報告される。粘土鉱物は陽イオン交換反応によりセシウムを取り込むため、セシウムを保持した粘土鉱物が高塩濃度の溶液と接触した場合、セシウムは溶液に溶出される可能性がある。本研究は福島第一原発周辺に分布する土壌粘土鉱物からの主要陽イオンによるセシウム脱離挙動を実験的に調べモデル化することを目的とする。本年度は実験に用いる土壌の採取およびキャラクタリゼーション、スメクタイトの標準物質から微量セシウム脱離挙動の検討を行った。 前者ではいわき市猿倉ため池堆積物を詳細に調査し、本検討に適した土壌試料であることを明らかにした。後者では様々な濃度をもつ主要陽イオン溶液によるスメクタイトに微量に保持される不純物セシウムの脱離挙動を調査し、分散状態にある場合セシウム溶出はイオン交換に従うものの、凝集状態にある場合セシウムの脱離は著しく抑制されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細粒粘土鉱物の分散凝集が及ぼすセシウム脱離の効果を明らかにすることができ、当初予想しなかった重要な成果であるといえる。一方、現地土壌を用いた脱離実験はまだ行えておらず、これは当初の予定よりも遅れているいえる。前者の発見は極めて重要であり、後者の検討のために必要な予備的検討であったと考えると、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は福島県いわき市猿倉ため池から実験に用いる土壌試料を大量に採取する。試料をクレイサイズ、シルトサイズ、サンドサイズに分級し、主要陽イオンによる放射性セシウムおよび安定セシウムの脱離実験を行う。福島第一原発周辺で主要なセシウムの取り込み媒体と考えられているイライトを用いて主要陽イオンによる放射性セシウムおよび安定セシウムの脱離実験を行う。
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