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2013 年度 実績報告書

放射性セシウムの樹幹内における分布と存在形態の動的解析

公募研究

研究領域福島原発事故により放出された放射性核種の環境動態に関する学際的研究
研究課題/領域番号 25110507
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関名古屋大学

研究代表者

福島 和彦  名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80222256)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード放射性核種
研究概要

樹皮に安定同位体セシウムを塗布した後、そのまま数ヶ月間生育させ、セシウム付着樹木のモデル試料を準備した。セシウム(Cs)の詳細な内部分布について、二次イオン質量分析(TOF-SIMS)による分析を行った。またさらに、当該研究課題とほぼ同時期に稼働開始となったあいちシンクロトロン光センターを利用して、放射光を用いた蛍光X線分析および硬X線吸収微細構造(XAFS)分析についても検討した。結果より、TOF-SIMSによる分析はCsに対して非常に感度が高く、詳細な分布評価を行うことが可能であった。しかしながら他無機金属との存在量比較は困難であったため、放射光による高感度蛍光X線分析を併用することとした。結果より、存在量について他無機金属と定量的比較を行うことが可能であった。また放射光をレンズ集光することで、0.5 mm以下の分解能によるマッピング分析が可能であった。
これらの分析はそれぞれ表面分析であるため、より全体的な情報を得るため、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いて、定量分析を行った。特にセシウムを樹皮塗布した樹木試料について、塗布部位から大きく離れた場所においても、Csを高感度に検出することが可能であり、Csの樹木内輸送状態についての知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

セシウムの分布状態および定量分析について、当初より計画していたTOF-SIMSおよび誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)による分析だけでは、その体積スケールにあまりにも大きな差があり、両者を組み合わせて考察することは困難であった。しかしながら、放射光を用いたマッピング分析を新たに取り入れたことにより、両者の中間程度の空間分解能において、表面定量分析および存在状態分析のためのデータが得られるようになった。放射光を用いたX線分析については、専門家との議論を行って知見を集積中である。
また植物への(安定同位体)セシウム塗布実験について、植物中をダイナミックにセシウムが移動していることを示すデータが得られている。当該成果については2014年3月の第125回日本森林学会大会において発表した。
以上より、当初予定していた測定手法に加えて新たな測定手法を採用して良好な結果を得つつあり、セシウムの植物内移動についても定量結果が得られている。次年度でのより詳細な研究に向けて着実にデータが得られており、順調に進展しているものと判断した。

今後の研究の推進方策

第二年度では、植物中のセシウム移動について、より詳細かつダイナミックな可視化を試みる。具体的には樹皮にセシウムを塗布した上で凍結し、cryo-TOF-SIMS/SEMシステムにより、生きている植物中のセシウムをそのまま可視化する。また、セシウムの植物内移動に関して、他金属種の存在が影響を与える可能性について、他研究グループが報告している。そのため、cryo-TOF-SIMS分析では他金属種についても同様に存在状態をマッピングし、セシウムとの相関につてより総合的な動態分析を目指す。
初年度に検討した各種定量分析、状態分析法についてはさらに検討を進め、セシウムの量および状態に関する知見を集積する。またセシウム塗布実験に用いる植物種を増やし、各植物内の特有成分とセシウムとの分布について比較を行う。セシウムが特に蓄積しやすい部位に関しては、セシウムを効率的に除去する方法についても検討する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] スギにおけるセシウムの表面吸収と移動2014

    • 著者名/発表者名
      富岡利恵、花井勇一、竹中千里、飯塚和也、小澤創
    • 学会等名
      第125回森林学会
    • 発表場所
      大宮ソニックシティ
    • 年月日
      20140326-20140330

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公開日: 2015-05-28  

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