研究実績の概要 |
本研究期間において、我々はCAPS2 exon 3 のみがスキップを起こす自閉症モデルマウスを作製した。exon3がスキップした欠損型CAPS2は、シナプス部に輸送されなくなることなどが判明した。また、このマウスが新奇環境への適応不全、社会性行動の異常などの自閉症様の形質を示すことを明らかにした。これらの結果から、欠損型CAPS2の発現によってBDNFの局所的分泌パターンが異常になり、これが自閉症脳における神経ネットワークの形成異常につながる可能性が示唆された。 我々がCAPS2遺伝子と自閉症との関連を最初に報告した後、複数の自閉症患者からCAPS2遺伝子を含む非常に狭い領域が片方の染色体で欠失している例が見つかってきた(Szatmari et al., Nature Genet., 2007; Christian et al., Biol. Psychiatry, 2008)。そこでCAPS2ヘテロマウスの解析を行ったところ、社会性行動の異常や新奇性の高い環境への不適応といった一部の自閉症様行動が見られることが明らかになった。
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