公募研究
マウス脊髄損傷モデルに対して、移植後に生着した神経幹細胞のみをレーザーマイクロダイセクションを用いて選択的に回収する技術を確立した。これにより、生着した細胞、特に分化ニューロンがどのようなフェノタイプを呈し、どのような機能を持つのかを解析することが可能となった。特に、ホストニューロンをablationした環境に於いては移植の治療効果が消失してしまうこと、さらに生着細胞自身の神経活動マーカやシナプス関連蛋白質の発現が有意に低下することが明らかとなった。すなわち、生着細胞とホストニューロンとのpropriospinal circuitの再構築が移植の治療効果をもたらしている知見が得られた。生着細胞はプレシナプスとポストシナプス蛋白の両者を発現しており、双方向での神経回路を再構築することで、損傷により失われた神経回路修復を試みているものと推測された。シナプス関連分子に関しては興奮性と抑制性のプレシナプス分子を発現していた。また、重度脊髄損傷モデルに於いてはホストニューロンの残存が乏しいため、移植の効果も殆ど認められないことが明らかとなった。この結果は、細胞移植治療を臨床応用する際には重傷度による患者選択が重要であることを示唆している。また、移植細胞同士の神経回路形成が慢性期脊髄損傷や重度脊髄損傷には重要な治療戦略となることが推測されたが、移植細胞同士のシナプス形成は殆ど認められなかった。これは、空間的な近接とシナプス形成に必要なガイダンス分子が重要な役割を果たしていると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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