公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
4名の球脊髄製筋萎縮症(SBMA)患者から線維芽細胞を採取し、エピゾーマルベクターを用いて、疾患特異的iPS細胞を樹立した。未分化マーカーの発現や神経分化能等の解析により、各患者について良質なクローンを各3クローンずつ選別した。また、同様の手法を用いて、性別、年齢をあわせた2名の健常者線維芽細胞から、コントロールiPS細胞を樹立し、良質なクローンを各3クローンずつ選別した。次に、これまでに開発してきたヒトES細胞から神経幹細胞を誘導する培養法を改変することで、ヒトES細胞、iPS細胞から、遺伝子導入せずに、短期間で高効率に運動ニューロンを誘導する方法を開発した。この方法で誘導した運動ニューロンは、成熟分化培養を行うことで、Choline acethyltransferase(ChAT)陽性のニューロンへと分化した。また、レンチウイルスレポーターを用いて運動ニューロンを可視化する方法を開発した。そこで、これらの手法を用いて、患者iPS細胞および健常者iPS細胞から運動ニューロンを誘導し、分化誘導効率、細胞死、変異ARによる凝集体形成、病態関連遺伝子の発現、細胞内シグナルなどについて解析を行っている。また、ヒトES細胞、iPS細胞から骨格筋の誘導法の開発、運動ニューロンと骨格筋の共培養系の開発も併せて行っている。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた患者由来iPS細胞の樹立、短期間で高効率に運動ニューロンを誘導する培養法の構築、運動ニューロンを用いた病態解析を進めることができた。また、骨格筋の分化誘導法や、運動ニューロンと骨格筋の共培養系の構築も開始しており、次年度も継続して研究を進めたい。
樹立した患者由来iPS細胞を用いて運動ニューロンを誘導し、分化誘導効率、細胞死、変異ARによる凝集体形成、病態関連遺伝子の発現、細胞内シグナルなどについて、健常者由来運動ニューロンと比較解析することで、患者由来運動ニューロンにおける病態メカニズムを明らかにしていく。また、純化した運動ニューロンを用いてトランスクリプトーム解析を行うことで、治療の標的となり得る、あらたな分子病態の解明を目指す。また、運動ニューロンと骨格筋の共培養系を用いて、細胞間相互作用による病態の解明を行う。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件)
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