公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
1)TAO2遺伝子の微小欠失や一塩基変異の樹状突起スパイン形態に及ぼす影響自閉症患者において、TAO2遺伝子を含む染色体の一部が微小欠失していることが知られている。そこで、TAO2遺伝子の微小欠失が樹状突起スパイン形態に及ぼす影響を検討した。培養海馬ニューロンのTAO2bをsiRNAによりノックダウンし、樹状突起スパインの形態変化を定量的に解析した。TAO2bノックダウンニューロンは、scrambledに比べてスパインの長さが長く、幅は狭いというthin spine形態を示した。vGlut1抗体を用いた免疫染色により、これらのthin spineは興奮性シナプスを形成していることが分かった。2)分子メカニズムの解析次に、その分子メカニズムを解析した。既に報告しているように、arcadlinが同種結合することにより、TAO2b-MEK3-p38 MAPKが活性化され、arcadlin-N-cadherin複合体が細胞内移行する。そこで、N-cadherinの細胞外領域に対する抗体を用いて細胞表面のN-cadherinを染色したところ、TAO2bノックダウンニューロンではN-cadherinの内在化が抑制されていることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、TAO2b減少のスパイン形態に及ぼす影響とその分子メカニズムの一端を明らかにできたため。
1)TAO2b遺伝子欠損するマウス(TAO2bノックアウト(KO)マウス)の作成TAO2bノックアウトマウスを作製する。調節ドメインをコードする17-19エクソンをloxP配列で挟み、camkII-Creマウスと交配することにより、TAO2bのみ(TAO2aには影響しない)を欠損させる。2)TAO2bノックアウトマウス(KO)の形態学的解析TAO2b KOマウスの神経系における形態学的異常を検討する。まず、脳を薄切後、各切片をHE染色し、脳の各部位の形態学的異常の有無を調べる。明らかな異常が認められれば、その詳細な解析を行う。また、遺伝子銃を用いたin vivoニューロンのDiIラべリング:DiIをコートした金粒子を遺伝子銃で脳切片へ撃ち込むことにより、海馬ニューロンを可視化する。標識された神経細胞の樹状突起を撮影し、Metamorphを用いてスパイン計測を行う。樹状突起スパインの巾・長さ・体積などを野生型とTAO2b KO間で比較する。3)行動学的解析TAO2b KOマウスが記憶の異常や社会行動異常を示すかどうかを検討する。水迷路試験やcontextual fear discrimination、social interaction test、three chamber test およびnest building testなどを行い、camkII-Creマウスと比較する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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