公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、それぞれ異なる蛋白質がミスフォールディング・凝集を生じ、その結果細胞レベル・個体レベルで可逆性の神経機能障害を来たして、神経症状を発症すると考えられている。本研究では、疾患モデルショウジョウバエを用いた遺伝学的スクリーニング、および2光子レーザー顕微鏡を用いたin vivoイメージングにより、シナプス発達障害仮説に基づいてシナプス機能異常が関わる神経機能障害の分子メカニズムを解明することを目的として、以下の研究を行った。1)ショウジョウバエモデルの遺伝学的解析による様々な疾患に共通のシナプス異常メカニズムの解明:これまで樹立されていたADモデル(A-beta)、PDモデル(alpha-Syn)に加えて、TDP-43やFUS、さらにC9ORF72-GGGGCCリピートを発現する新規ALS/FTLDモデルショウジョウバエを樹立し、神経筋接合部におけるシナプス異常を明らかにした。一方、シナプス関連遺伝子の変異体やRNAi発現系統を作製・入手した。2)2光子in vivo イメージングによる神経変性疾患マウスのシナプス、神経ネットワーク異常の解明:2光子レーザー顕微鏡を用いたin vivo time-lapseイメージング解析により、SCA1モデルマウスにおいて、発症前の発達期から大脳皮質ニューロンのスパインのターンオーバー率が異常亢進しており、シナプス成熟が遅延していることが示唆された。さらにいくつかのシナプス関連分子の発現が同時期より減少していることを明らかにした。また、in vivo Ca2+イメージングのためのThy1-GCaMP7マウスや、ニューロン・グリア同時イメージングのためのIba1-EGFPマウスを導入し、予備実験を行った。
2: おおむね順調に進展している
疾患モデルショウジョウバエを用いた遺伝学的スクリーニング、2光子レーザー顕微鏡を用いた疾患モデルマウス脳のin vivoイメージングのいずれの解析も順調に進んでいる。
2光子レーザー顕微鏡を用いた疾患モデルマウス脳のin vivoイメージング解析は、解析システムの樹立のために当初の予想より時間がかかると予想される。そのため、今後の解析としては、Thy1-GCaMP7マウスを用いたin vivo Ca2+イメージング解析、あるいはIba1-EGFPマウスを用いたニューロン・グリア同時イメージング解析のいずれかを優先させて研究を進める。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
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