研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
25111701
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
若松 義雄 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60311560)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 細胞移動 / タイムラプス / プラコード / 耳プラコード / Delta1 |
研究概要 |
本研究は、トリ胚の耳プラコード形成過程での細胞動態をタイムラプス観察し、その動態制御に関わる分子を明らかにすることを目的としている。 このために、EGFPレポーター遺伝子を利用した方法と抗Delta1ポリクローナル抗体によるライブ染色を用いた方法を予定していた。EGFPレポーター遺伝子を利用した方法については、Sox9遺伝子の耳プラコードエンハンサーに膜移行型EGFPやアクチン骨格移行型EGFPなどをつなげたコンストラクトを作成し、その発現を確認した。そして、宮田領域代表の研究室にて、これらの試薬を使ったタイムラプス観察を試みた。その結果、幾つかの技術的な問題点があきらかとなった。その一つは、培養した胚をそのまま観察に供した場合、全体の変形が大きくて細胞の動態を安定して観察することが極めて難しいことで、この問題に対処するために、予定耳プラコード領域を切り出して培養する方法を開発した。また、使用予定であった抗Delta1ポリクローナル抗体によるライブ染色が不安定であり、またその残量が少なくなっていたため、モノクローナル抗体の作成を外注した。Delta1蛋白質を細胞表面に発現する培養細胞株を作り、得られた複数の抗体クローンの性能評価をおこなった結果、Delta1蛋白質をライブで染色できるクローンが得られた。また、Delta1を介したNotchシグナルの耳プラコード形成制御メカニズムについて論文を作成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定耳プラコード細胞のタイムラプス観察について、(1)培養した胚をそのまま観察に供した場合、全体の変形が大きくて細胞の動態を安定して観察することが極めて難しい、(2)抗Delta1ポリクローナル抗体によるライブ染色が不安定、といった技術的な問題が明らかとなり、それに対処するために予定耳プラコード領域を切り出して培養する方法を開発したり、Delta1蛋白質をライブで染色できるモノクローナル抗体の作成に集中せざるをえなかったため、タイムラプス観察がおこなえなかった。その影響で、耳プラコード細胞の動態制御に関わる分子の探索も十分にはおこなえなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)新たに確立した予定耳プラコード領域の組織培養実験系と、新規作成したSox9耳プラコードエンハンサーを利用したEGFPレポーター遺伝子や抗Delta1モノクローナル抗体などの試薬を組み合わせ、安定的なタイムラプス観察を目指す。 (2)Delta1を介したNotchシグナルの耳プラコード細胞運命決定に関して得られたデータをもとにした論文を早期に完成させ、投稿、発表する。 (3)耳プラコード細胞の動態を制御する因子の探索を再度おこなう。
|