公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
上皮組織は個体・器官形態形成において重要な役割を担う。上皮組織を構成する個々の上皮細胞の形態変化を調節する外部要因と変化をもたらす細胞内機構を解明することは、発生研究の重要な課題である。線虫C. elegans雄尾部に存在する感覚器官rayを形成する表皮細胞Rn子孫細胞の形態と配置調節には、複数のシグナル因子がかかわるが、その細胞形態について詳細な解析はまだ行われていない。線虫C. elegans幼虫尾部表皮細胞で発現するKS411系統のトランスジーンmhIs9[lin-17p::lin-17::gfp]による細胞の側底面細胞膜可視化と、Rn子孫細胞特異的なlin-32p::cherryトランスジーン発現を組み合わせて、個々のRn子孫細胞の細胞膜と細胞質を同定を試みた。しかし、mhIs9[lin-17p::lin-17::gfp]は成長が遅いなど、単独で野生型と異なる表現型を示す問題が明らかになった。 このためphospholipase Cδ1 PH domainを用いたlin-17p::gfp::PHの発現を試み、この標識方法で虫の発生を妨げずにray細胞膜を強く蛍光標識できることが最近確認できた。 今後、このマーカーを利用するとともに、他の蛍光マーカーとの比較を容易にするために、lin-17p::mCherry::PH発現系統を作製した。このデータを基に細胞容積、細胞間接着面積を測定する予定である。
2: おおむね順調に進展している
本計画の柱となる虫の発生を妨げずにray細胞膜を強く蛍光標識する方法を確立できて、これまでわからなかった個々の細胞の形態が明らかになりつつあるため。
今後、ray細胞の細胞容積、細胞間接着面積を測定する予定。さらに、上記の野生型系統解析用のツールを用いて、分泌型セマフォリンmab-20 unc-6/netrin変異体を材料とした解析を開始する。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
PLoS ONE
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