公募研究
本研究では、バイオメカニクス・メカノバイオロジー的観点から、血管などの組織内で生じている引張りや圧縮などの力に対し、細胞内の構成要素がどのような応答を見せるに注目している。特に、アクチン細胞骨格と非筋II型ミオシンを主体とする収縮性のアクチンストレスファイバと、細胞核のインタラクションの変化に着目し、細胞周囲の力学場の変化が細胞の運動・配列状態に与える影響を明らかにすることを目的とした。最終年度である平成26年度は,弾性膜上に培養した細胞に対し、血管壁などで生じている動的な繰返引張ひずみを負荷した際の変化を調査した。ひずみ波形の違い(台形波・三角波)によって、ストレスファイバや細胞核の配向が変化すること、さらに細胞間の接着の有無や、細胞の重層化によっても全く異なる配向特性を示す興味深い結果が得られてきている。すなわち、我々のこれまでの報告も含め、ストレスファイバは、基質の垂直ひずみが最小となる方向(引張も圧縮も生じない方向。弾性膜を引っ張った場合は、引張りに対して50~70°傾いた方向)に優先的に再構築され、その方向に細胞も遊走し、細胞分裂も生じると考えられてきたが、1)細胞内のストレスファイバが圧縮される時間や、非筋II型ミオシンのリン酸化レベルに依存して、細胞配向が全く異なること、2)3次元的な細胞間接着の有無によって、引張や圧縮といった垂直ひずみだけでなく、せん断ひずみを避けるかのように細胞が形態・配向を変化させること、などが分かってきた。これらの知見は、本領域課題である細胞運動・組織形成の秩序原理の理解に繋がるだけでなく、力学場操作による組織形成技術といった応用展開へと繋がると言える。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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日本機械学会論文集
巻: Vol.81, No.824 ページ: 1-12
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Bio-Medical Materials and Engineering
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http://info.ibaraki.ac.jp/Profiles/27/0002641/profile.html