公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
Delta-Notchシグナル伝達によって細胞集団が自己組織化する際に、細胞が動くことがどのように貢献・阻害するのかを、Delta-Notchの側方抑制ネットワークを実際に作ることで検証した。具体的には以下の2テーマを行った。テーマ1.方向性を持った細胞運動と遺伝子ネットワークが協力してパターン形成を促進する場合Nectin-1とNectin-3による細胞選別機構を、Delta-Notchの側方抑制遺伝子ネットワークと組み合わせることで、パターン形成が促進するか検討した。まず先行研究に従い、Nectin-1とNectin-3をそれぞれHEK293細胞に発現させたところ、細胞選別が起きることが確認できた。しかし、これまで側方抑制遺伝子ネットワーク作製に用いてきたCHO細胞では、Nectinによる細胞選別が確認できなかった。テーマ2.ランダムな細胞運動がパターン形成を促進する場合細胞のランダムな動きの程度を変化させるため、1.細胞密度を上げる、2.特殊な培養皿を用いて細胞と細胞外基質の接着部位を制限する、3.細胞間接着因子を強制発現する、などの実験を行った。結果、細胞がよく動く時には、側方抑制細胞パターンにおいてDeltaが活性化した細胞の比率が増加し、細胞が動かない時にはNotchが活性化した細胞の比率が増加する傾向を見出した。今後、細胞の動きと細胞比率の関係についてより詳細な解析を行う。また、現在用いているCHO細胞は細胞形態が不規則であるため、規則正しい細胞パターンの解析には向かないことがわかった。今後、より規則的な細胞パターンを形成できる実験系の構築を目指す。
2: おおむね順調に進展している
テーマ1、2ともに、計画通りの実験を行うことができた。結果、テーマ1は実現可能性が低いことが分かった。一方テーマ2では、細胞運動と細胞パターンの比率の関係、という新しい知見を得ることができた。よって、研究はおおむね順調にしている。
テーマ1については、実現可能性が低いと判断したため、今後はテーマ2に絞って研究を進める。テーマ2では、細胞運動と細胞比率の関係を、より定量的に調べる。また、より規則的な細胞パターンが形成される実験系を構築し、細胞運動と細胞パターン形成の関係を検討する。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 6件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 5 ページ: -
10.1038/ncomms4197
Genes & Development
巻: 27 ページ: 1949-1958
http://www.cdb.riken.jp/jp/02_research/0207_strategic06.html