形態形成の基本原理としてモルフォゲン濃度勾原理と反応拡散原理が知られる。どちらも形態形成において重要な原理であるが、我々はゼブラフィッシュの体表模様形成を研究対象に、反応拡散に基づく形態形成に分子メカニズム解明を目指している。体表模様形成に重要な因子であるギャップ結合及び、体表模様にバリエーションを与えるコネキシン変異体に関してオオサイトクランプ法による電気生理解析を行った。迷宮模様を作り出すN末ドメイン欠失変異体(Cx41.8M7)及びスポットサイズを小さくするCx41.8I203F変異体はどちらも細胞間の電流が検出されなかった。しかしながら野生型との共発現ではI203Fでは微弱ながら電流が検出されたのに対し、Cx41.8M7ではこちらも電流は検出されなかった。このことは、Cx41.8M7変異体が野生型あるいは他の正常コネキシンとヘテロメリックな結合を形成し、正常なギャップ結合を阻害している可能性を示唆している。そこで、Cx41.8以外のどのコネキシンを阻害しているのかに関して検討を行い、他のグループにより最近単離されたCx39.4に注目した。Cx39.4は魚類特異的なコネキシンであり、N末ドメインが他のコネキシンに比べ2アミノ酸長く、しかもN末端近くに塩基性アミノ酸を持つという特殊な性質を有する。まず、Cx39.4単独でオオサイトクランプを行ったところ、膜電位に対して非常に低い感受性を示す結果が得られた。次に、Cx39.4とCx41.8M7を共発現させて電流量を測定したところギャップ結合に阻害効果が検出された。このことは、色素細胞間でCx41.8とCx39.4がヘテロメリックなギャップ結合を形成し、パターン形成に関与していることを示している。
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