研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
25111718
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松井 貴輝 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (60403333)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発生・分化 |
研究概要 |
器官形成において、細胞は動くという生来の性質によりゆらいでいるが、細胞を囲む場からの何らかの影響を受けて、機能的な細胞集団、ひいては、組織や器官を形成すると考えられる。H23-24本領域の公募研究において、我々は、ゼブラフィッシュのクッペル胞を器官形成のモデルに用い、「細胞」が取り囲む「場」を作り、「場」からの正のフィードバック効果を「細胞」が受け取ることにより、機能的な細胞集団が形成される可能性を見いだした。本研究では、この研究をさらに発展させ、「細胞の振る舞いがどのように統合され、いかにして集団としての挙動に変換されるのか」という現代科学が直面する問題に、「細胞」と「場」に着目して解答を得ることを目指す。この目標達成のために、実験と数理モデルを組み合わせた融合研究を行なう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度までの研究によって、個々の細胞内で、FGFシグナルの正フィードバックループによってシグナル活性が安定化し、細胞間の接着性が増強される。この時、FGFのリガンドであるfgf8aは、クッペル胞前駆細胞から分泌されるために、集団を形成している時の方が、FGFシグナルが増強されやすくなるというモデルを提唱できている。 よって、順調に進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進んでいるが、実際にFgf8aが細胞間に濃縮している様子や、細胞の接着依存的ににFGFシグナル活性が変化するかについての実験データは得られていない。 そこで、本年度は、FGFシグナルの活性をリアルタイムで観察する系を確立し、細胞の集団性とFGFシグナルの活性強度の時空間変化を4Dで観察することで、我々が提唱したモデルの証明に必須な観察データを得る。さらに、得られた実験データを基に、パラメーター情報を抽出し、数理シミュレーションすることで、このモデルを検証する。また、この領域の最終年度に当たるため、これまでの成果を学会発表、論文発表を通して、広く発信していきたいと考えている。
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