研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
25111734
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
鈴木 誠 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 助教 (10533193)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経管 / 集団的細胞運動 / ミオシン |
研究概要 |
細胞の挙動を捉えるライブセルイメージングでは、細胞膜と非筋型ミオシンを標識した移植細胞を対象にスピニングディスク共焦点顕微鏡で高速4次元イメージングを行った。細胞の収斂運動を自己相関解析により、更に近傍細胞との同調性を相互相関のずれと距離の相関解析により検討した。その結果、収斂運動の周期性は個々の細胞に存在するが周囲の細胞との関連性は明らかには存在しないという結果が得られた。次に収斂運動とミオシン集積の関連性についてはRFPを用いた多重ライブセルイメージングにより解析を進め、ミオシンの周期性と収斂運動の周期性の間に存在する因果関係を検証した。その結果、ミオシン集積の後に細胞の一過的な形態変化が起こっていることが明らかになった。ミオシンを不活性化させた状態で同様のイメージングを行い周期的ミオシン集積が細胞の形態・挙動に与える影響を解析した結果、上述の現象の程度が減じたことから両者には機能的関連性が示唆された。異なるアプローチとして周期的な収斂運動に繋がるミオシン動態の周期性を実現する分子機構を明らかにしその性質を理解するため、Rho/ROCK経路に着目した活性可視化プローブを利用したライブイメージング解析の条件検討を試みた。今のところF-アクチンやミオシンの集積と関連した関連分子の動態の明らかな変化は観察されていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた解析の大部分を実行し、収斂運動とミオシン集積の周期性の性質と時空間的・機能的な関連性を推定することができた。しかし局所的なミオシン活性の不活性化実験による仮説検証、ミオシン動態の周期性を実現する分子機構の解明については条件検討の段階にあり今後の推進が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
局所的なミオシン活性の不活性化実験による仮説検証についてはUV活性化型のROCK阻害剤を標識細胞から離れた位置で活性化し細胞非自律的なROCKの阻害が収斂・ミオシン周期性に与える影響を解析する。ミオシン動態の周期性を実現する分子機構の解明については生体内でのFRET解析ではダイナミックレンジが確保できないという技術的な問題から微弱な活性動態を検出できない可能性がある。このためRhoとその下流因子である調節軽鎖のリン酸化因子ROCKと脱リン酸化因子MyptのGFP融合タンパクによる動態関連解析を並行して行いミオシン動態との関連性の推定の信頼性を高める工夫をする。
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