公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ストレスセンサーKeap1は転写因子Nrf2のユビキチン化反応を制御し酸化ストレス防御機構の中心的役割を担う鍵因子である。最近の申請者らの研究成果からKeap1-Nrf2システムは多様なストレス刺激に応答してユビキチン化反応を制御すること、またその制御機構として「閂と蝶番モデル」を提唱した。しかし、その実証は未だ不十分である。本研究はこの成果を発展させ、ストレスセンサーKeap1によるユビキチンリガーゼ活性制御機構の解明によりNrf2活性化メカニズムを明らかにすることを目的とした。閂と蝶番モデルを実証を目的に、ダブル蝶番Nrf2分子の安定発現株の作製およびノックインマウス作製を行った。平成25年度は細胞およびマウス作製は予定通り滞りなく進行しており平成26年度に解析を進める予定である。また、Keap1によるさらなるセンサーシステイン残基の使い分けを実証するために各種システイン残基変異体の作製を行った。特に鍵となるセンサーシステイン残基C273/288についてはセリン置換した変異体はユビキチンライゲース活性を失ってしまうため機能的なストレス応答能の解析は滞っていた。そこで様々な変異体の作製を行った結果、Keap1のユビキチンライーゲス活性を失わないC273/288欠失変異体の作製に成功した。このC273/288欠失変異体を発現する安定発現細胞および遺伝子改変マウスの作製に成功した。平成26年度はこのC273/288欠失変異体の詳細な解析に加えて他のセンサーシステイン残基の機能的解析を進める。以上の解析はストレス感知機構の使い分けとユビキチンライゲース活性制御メカニズムの解明につながり、シグナル制御メカニズムの新しいパイオニアモデルを提供できると期待される。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通りダブル蝶番Nrf2分子およびセンサーシステイン残基C273/288欠失Keap1変異体の創出に成功した。また、全システイン残基欠失Keap1分子の創出も試みたがNrf2抑制能を失ってしまったので、全部ではなく主要な鍵システイン残基を狙った変異体作製を行う方針に転換した。これも想定内の結果であり、おおむね順調に研究は進行している。
平成25年度は予定通りダブル蝶番Nrf2分子およびセンサーシステイン残基C273/288欠失Keap1変異体の創出に成功したので、平成26年度はこれらの変異体の解析を行い、Keap1によるユビキチンリガーゼ活性制御機構を明らかにしNrf2活性化メカニズム解明を目指す。また、主要な鍵システイン残基を狙った変異体作製をさらに進め、ストレス感知機構の使い分けとユビキチンライゲース活性制御メカニズムとの機能連関の解明を進める。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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