公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
[目的、背景]ユビキチン依存性分解は極めて重要な細胞内タンパク質の量的制御システムである。さらにユビキチン研究の発展により、結合する様々なユビキチン鎖によって、分解だけでなく基質タンパク質の運命を決定することも示唆されてきた。一方でユビキチンシステムの異常が癌、神経変成疾患、免疫疾患に関与することが示唆されている。しかしながらユビキチンシステムと関係するヒト疾患の全容は明らかになっていない。慢性腎障害や間質性肺炎等の組織線維化を伴う疾患は不明の点も多く、難治疾患である。我々はこれまでの解析で慢性腎障害進行にp27/Skp2経路の関与を報告してきた。さらに癌抑制遺伝子産物p130RB2の蓄積が観察され、本研究ではp130RB2の蓄積の詳細とユビキチンシステムによる制御機構を解析することで、p130RB2の発現量制御機構と腎障害進行、線維化の関連を明らかにする。[研究方法、結果]マウスUUO腎障害モデルを用いた解析で、p130RB2のmRNAには変動がないが、p130RB2タンパク質が早期に蓄積することが確認された。この点についてSkp2KOマウスでも野生型マウスと大きな差がないことからSkp2以外のE3リガーゼの変動が関与していることが示唆された。そこで培養細胞にHA-p130を強制発現させ免疫沈降物を高感度質量分析計で解析し、結合タンパク質を同定した。その結果数種のE3リガーゼが結合タンパク質として同定された。これらのE3候補についてsiRNAを用いたノックダウンによりp130RB2が蓄積するかで評価した。その結果、E6APおよびCul4のノックダウンによりp130RB2が蓄積することが判明した。
2: おおむね順調に進展している
腎障害モデルにおけるp130RB2の蓄積がタンパクレベルで起こり、そのE3はSkp2以外であることがわかった。さらに質量分析計をもちいた結合タンパク質の解析基盤にp130RB2のE3候補を2種見いだした。これはほぼ計画通りで、研究はおおむね順調であると判断している。
H25年度の研究により、E6APおよびCul4がp130RB2の新たなE3候補であることがわかった。今後は実際にこれらがp130RB2と結合するか、ユビキチン依存的な分解を起こすか等、さらに詳細な解析を行いp130RB2の新たなE3を同定する。さらに線維化に関与するかを解析する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
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