公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
抑制型転写因子であるHes1は、分化を促進する転写因子等の発現や活性を抑制し、幹細胞・癌細胞などの様々な未分化細胞の維持に必須である。Hes1の発現パターンは特徴的で、自身の発現を抑制するネガティブフィードバックループによって、細胞内でその発現量が周期的に増減(振動)する。近年、Hes1は、その振動ダイナミクスを使い分けて幹細胞の分化を制御していることが分かってきた。しかし、その振動を制御する細胞内の分子機構はほとんど明らかになっていない。我々は、Hes1タンパク質の安定性に着目をし、Hes1と相互作用するユビキチン修飾系関連因子を同定した。その中からHes1タンパク質を安定化するユビキチン化酵素(E3)と脱ユビキチン化酵素(DUB)を見いだした。平成25年度は、主に同定した脱ユビキチン化酵素(DUB)の解析を行い、このDUBに類似したホモログが同様の活性を持つこと、これらのDUBの過剰発現やノックダウン法を用いた解析により、DUBによるHes1タンパク質の安定化とその分子機構、ならびにHes1の活性制御機構を明らかにした。また、このDUBのin vivoでの機能解析を、Hes1との発現比較、ノックアウトマウスの解析、マウス胚脳組織への遺伝子導入法などにより行い、マウス脳組織における神経幹細胞の増殖や分化への影響を調べた。さらに、Hes1の発現振動をリアルタイムでモニターできる発光レポーターを用いて、培養細胞における振動の変化を調べた。現在、以上の結果をまとめている段階である。
2: おおむね順調に進展している
同定した脱ユビキチン化酵素(DUB)の解析を行い、Hes1に対する機能解析をほぼ終了することができた。
同定したHes1タンパク質を安定化するユビキチン化酵素(E3)、並びに他の候補相互作用因子の機能解析を行う。また、Hes1の翻訳後修飾を詳細に調べ、特にユビキチン修飾によるHes1の転写因子活性の制御機構を調べる。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Current Topics in Developmental Biology
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Stem Cells and Development