研究実績の概要 |
昨年度までに、Caldiarchaeum subterraneum のE3粗精製画分(熱処理後可溶性画分)を、Ub,E1,E2と共に用いることにより、パン酵母無細胞抽出液のUb化が可能であること、つまりE3画分にUb ligase活性があることを示した。今年度は、E3タンパク質の精製を集中的に進めた。硫安沈殿、ヒドロキシアパタイトカラム、疎水性相互作用カラム、ゲルろ過カラムによる一連の精製操作により、電気泳動におけるバンドが単一となる程度にまで、E3を精製することができた。引き続き精製E3を用いてUb反応を行ったところ、粗精製画分を用いた場合と同様の結果が得られたことから、Ub化活性が夾雑成分により引き起こされているのでは無く、実際にE3タンパク質に起因するものであることが判明した。これにより、全ての因子が精製された完全な再構成系によるC. subterraneumのUb化反応系を構築することに成功し、本系が実際に細胞内でタンパク質のUb化を引き起こしていることが強く示唆された。さらに本系を用いて基質タンパク質の探索を行った結果、AAA+ ATPaseドメインを有する本菌由来タンパク質がUb化を受けることが判明した。
|