研究概要 |
本研究の目的は、新たな「ユビキチンコード」の一つといえる、Pex5pのN末領域に保存されたシステイン残基に対するチオエステル結合を介したモノユビキチン化修飾(Cys-Ub化と略)によるペルオキシソームマトリクスタンパク質輸送の制御機構を解明することである。本年度は、以下のA) およびB) の項目に関する研究成果の概略を記す。 A)Pex5pのCys-Ub化修飾の分子基盤:ペルオキシソーム欠損性CHO変異細胞のペルオキシソーム画分の解析から、3種RINGペルオキシンのうち、Pex10p (Miyataら, Traffic 2012)に加え、 Pex2pとPex12pもPex5pのCys-Ub化に必要であることを見出した。一方、リコンビナントRINGペルオキシンを用いたin vitroユビキチン化アッセイ系においては、Pex10p/Pex12p複合体がPex5pのLys残基をモノUb化する活性を検出したが、Pex5pのCys-Ub化はまだ再構成できていない。 B)Cys-Ub化修飾によるペルオキシソームマトリクスタンパク質輸送の制御機構:In vivoにおけるPex5pのユビキチン化修飾を解析する過程で、1) マトリクスタンパク質輸送に必須なペルオキシソーム膜上におけるPex5pのCys11のモノUb化に加え、2) 内在性Pex5pのLys残基のモノUb化、および3) 一過性に発現させたPex5pがペルオキシソーム非依存的に細胞質においてLys520のモノUb化修飾を受けることを見出した。さらに、Pex5pに対する異なる3種の様式のUb化修飾が、ペルオキシソームマトリクスタンパク質輸送を制御することを明らかにした。これらの成果を国際誌 Jounal of Biological Chemistryに公表した(Okumoto K., Noda H.,and Fujiki Y. J. Biol.Chem.in press, 2014 doi: 10.1074/jbc.M113.527937)。
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