公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
膵がん細胞と間質線維芽細胞両者に高吸収性を示すペプチドや、がん間質を構成する線維芽細胞あるいは血管内皮に特異的吸収性を発揮するペプチドを基盤ツールに、間質を豊富に有する膵がんなどの難治性腫瘍の生体低侵襲性腫瘍イメージング技術と、がん間質成分標的あるいは間質とがん細胞の同時標的を可能とする低侵襲性ペプチド製抗腫瘍DDS の基盤技術の構築を目指す。初年度目標として、難治がんの代表である膵がんを解析の対象におき、in vivo study による膵がん転移・浸潤巣描出用ペプチドプローブの完成と担がんマウスモデルでの生体内動態、性能の解析・検証を計画した。これは、微小膵がん転移巣や浸潤範囲を描出可能とするプローブで、がん細胞・間質両者吸収型とともに、がん間質線維芽細胞や新生血管に選択的にシフトした吸収性を発揮するペプチド両者を開発課題とした。研究の実施では、膵がんに高吸収性を発揮するペプチドを2種類現在獲得した。これらはヒト膵がん細胞移植マウスモデルへの投与で比較的良好な腫瘍特異的描出性能を発揮することを確認できた。またこれらのペプチドをプロトタイプにして疎水性の改善、分解耐性の向上を図るペプチドの再デザイン化を実施中である。しかし、これらのペプチドは膵がん間質への吸収性は低く、がんと間質両者への有意な同時吸収性は期待できないと考えた。従って、現在がん間質構成分に高吸収性能を発揮するペプチドの開発に関して検討中である。
3: やや遅れている
がん間質成分に特異的に吸収されるペプチドの開発が遅れている。これは、本研究の最終目標を実効的に達成するために、標的組織特異的吸収性が高く、正常臓器への吸収などバックグラウンドが最小限に抑えられるという改良型・進化型のペプチド分離技術の検討・開発が必要であると考え、現在検討中であることが理由である。また、がん間質の実際の病理組織を用いた解析から、間質構成細胞が単一でなく極めて多彩であることが判明しており、難治がん抑制のために最も有効な標的となるがん微小環境構成細胞を探索・同定する基礎的な検討の必要性を認識して現在これを並行して実施していることも遅れの理由である。
以下の2点について今後の優先的達成目標とする。(1)難治がん抑制のために最も有効な標的となるがん微小環境構成細胞を探索・同定する。患者病理組織標本の解析と、実験動物を用いた解析を併せた手法を主体に進める。(2)標的組織特異的吸収性がより高く、正常臓器への吸収などバックグラウンドが最小限に抑えられる従来法に勝る進化型のペプチド分離技術を確立する。そのうえで、前項(1)で絞り込んだ標的に対する高吸収性ペプチドをこの進化型ペプチド分離技術を用いて実施する。
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