公募研究
本研究は、中心子がもつ特徴的で普遍的な9回対称性構造の構築機構を、クラミドモナス突然変異株の解析によって明らかにすることを目指している。今年度は以下の2点について実験し、研究を遂行した。1.SAS-6会合性の中心子の9回対称性構造構築に対する寄与我々はこれまでに、中心子の9回対称性構造はカートホイールという9回対称性の放射状構造によってある程度規定されることを見出し、さらに、そのカートホイールは9個のSAS-6ダイマーが回転対称に会合して形成されることも明らかにした。これらのことから、SAS-6の会合性が中心子構造の決定に大きく寄与していると推察される。しかし、この仮説の実験的な検証はまだなされていない。そこで、会合性を変化させた変異SAS-6をクラミドモナス変異株bld12に発現させる実験、さらにカートホイールと中心子微小管の結合を弱める遺伝子操作(Bld10pの部分欠失発現)を行った。その結果、SAS-6の中心子9回対称性に対する寄与は限定的であること、カートホイールとは独立に形成された中心子微小管がカートホイールの9回対称性にも影響を及ぼすことなどが明らかになった。2.新規クラミドモナス突然変異株bld13の変異遺伝子産物(Bld13p)の同定中心子に異常をもつことが判明しているクラミドモナス変異株bld13の変異位置をPCRマッピング法により検討した。その結果、6番染色体の約150kbの領域にあることが判明した。しかし、その領域にはゲノムデーターベースに誤りがあって、存在すべき配列が大きく欠失している可能性があり、変異の原因遺伝子の同定には至らなかった。そこで、bld13の全ゲノム配列を決定し、この問題の解決を目指した。
3: やや遅れている
突然変異株bld13の原因遺伝子同定の過程で、レファレンスとなるゲノムデーターベースに不備が見出されたため。
bld13の全ゲノム配列を決定したので、その結果をもとにOrphan scaffoldの配列を検討し、原因遺伝子を同定する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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