研究領域 | シリア・中心体系による生体情報フローの制御 |
研究課題/領域番号 |
25113507
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若林 憲一 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (80420248)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | レドックス / 鞭毛・繊毛 / 走光性 / クラミドモナス |
研究概要 |
平成25年度は、走光性発現時の遊泳方向によってスクリーニングした2種のクラミドモナス・ミュータントの遺伝子解析を行った。そのうちの1つは野生株と逆符号の走光性を示す(仮にips1 (inverse phototactic sign)と呼んでいる)。ips1原因遺伝子を遺伝子マッピングと次世代シーケンシングの併用によって同定したところ、色素生合成系の遺伝子に変異があることを見出した。現在、この結果を確かめるために、レスキュー実験によって原因遺伝子の確認実験を行っている。さらに、もう1つの強い負の走光性を示す変異株についても同様の方法で原因遺伝子候補を明らかにした。現在、これについてもレスキュー実験による確認が進行中である。 並行して、計画ではH26年度に行うこととしていた鞭毛内レドックス・シグナリングの分子的実体を明らかにする実験を開始した。まず、ダイニンサブユニット型チオレドキシンLC3がジチオール-ジスルフィド交換反応を行うターゲットタンパク質のスクリーニングを行った。当初予定していた免疫沈降よりも大量にターゲットタンパク質を精製するために、LC3の活性部位CysをSerに変異させたCS変異型LC3の組換タンパク質をCNBrカラムに固定したアフィニティカラムを作成した。鞭毛マトリクス抽出液を添加して洗ったのち、還元剤で溶出されるタンパク質がターゲット候補である。野生型LC3アフィニティカラム溶出物との差からターゲット候補を絞り、いくつかのタンパク質を質量分析によって同定した。現在、それらが実際にLC3とジスルフィド交換を行うかを検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で予定していた3種のミュータントの原因遺伝子解析のうち、2つまでが現在までに完了している。新奇ミュータントの単離についても、この2つのミュータントの遺伝子候補を参考に、当初計画よりも良いスクリーニング方法を構築できた。 また、当初計画ではH26年度に行うはずであったLC3ターゲットタンパク質のスクリーニングを前倒しで開始することができた。これについても、すでに候補タンパク質をリストアップすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2種のミュータントの原因遺伝子の確定実験および論文作成を再優先とする。残る1種については、現存するゲノムデータベースが不完全なため、同定できない可能性が高い。そのため、新奇ミュータントの単離を次のステップの実験として行う。 鞭毛内レドックスネットワーク同定実験については、LC3だけでなく、もう1つのダイニンサブユニット型チオレドキシンであるLC5について同様の実験を行う。
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