公募研究
本研究では、「一次シリアの細胞膜を、細胞体の細胞膜から隔てている境界構造の実体と、その構造が拡散障壁として、しかも、特定の分子の選択的な出入りを決めるフィルターとしてはたらくことにより、一次シリア全体の極性を維持し、その機能を制御する機構」の解明を目指した。本年度は、以下の研究進捗があった。1.細胞膜分子の拡散抑制機構として、「膜骨格フェンス効果」を与えると考えられる、transition fiberを形成するODF2と、移行帯に局在するMKS1およびCEP290、「アンカード膜タンパク質ピケット効果」を与えると考えられる、移行帯のciliary necklaceに相当するTMEM17に、超解像観察用の蛍光タンパク質を付加した。ヒトRPE-1細胞に発現させたところ、ベーサル面に形成された一次シリアの基底部に局在することが全反射蛍光顕微鏡観察で確認できた。2.上記の拡散障壁候補分子の超解像観察と同時に1分子観察をおこなうための、一次シリアに局在する膜貫通型タンパク質のプローブとして、Smoothened、Sstr3、Htr6、PDGFRαのACP (細胞外で蛍光色素を共有結合で標識できるタグ分子) 融合体を作製した。また、コントロールのプローブ分子として、不飽和リン脂質蛍光アナログのSeTau647-DOPEを合成した。3.前年度に開発した装置で、拡散障壁の超解像観察と、上記の1分子観察プローブの同時観察をおこなったが、一次シリア基底部は顕微鏡のz軸(上下)方向に傾いた構造を取ることが多いので、現在の装置で可能なxy軸(水平)方向に投影した観察をするだけでは、不十分であることが分かった。今後、3次元の位置決めに対応できるように装置を改造し、一次シリア基底部の構造(細胞膜の配向)を3次元的に把握しながら、分子選択性を決める機構を調べたい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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巻: 15 ページ: 583-612
10.1111/tra.12163
日本免疫学会ニュースレター
巻: 23 ページ: 12