研究領域 | シリア・中心体系による生体情報フローの制御 |
研究課題/領域番号 |
25113516
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松村 繁 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (60523511)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 紡錘体軸方向制御 |
研究実績の概要 |
本研究目的は、「間期の細胞の形態・構造の情報」から「分裂期の紡錘体の方向性の情報」へと変換する現象のプロセスを分子的に解明することである。この為、間期から分裂期への細胞構造変化と紡錘体配置の関係性を解析する。HeLa細胞では、間期における細胞形態によって、分裂期の紡錘体の二次元平面上の配置方向が制御される。しかし、この分子メカニズムはわかっていない。 これまでに、Caveolin1を情報変換制御の候補因子として見出した。Caveolin1はコレステロールに結合し細胞膜上のカベオラ構造を形成する。カベオラ構造は低流動性の安定な膜ドメインを形成し、レセプター分子や膜結合タンパク質の集積を促し、細胞外刺激のシグナル伝達の場となっていることがわかってきた。しかし、細胞分裂期における役割はわかっていなかった。我々はCaveolin1が細胞-細胞外基質間接着と細胞分裂軸決定因子との間をつなぐ分子の1つであることを見出した。また、分裂期のCaveolin1が集積する膜領域を電子顕微鏡にて観察すると間期細胞で見られるカベオラ様の構造体が観察された。これらの結果は分裂期の膜の不均一性が細胞分裂軸制御に重要な役割を果たしていることを強く示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説に基づき実施した実験によって得られた結果は、ほぼ仮説を支持するものであり、研究目的の根幹となる分子機構の解明に成功している。途中、電子顕微鏡による結果により実験を幅広く実施したが、その成果も仮説を支持するものであり、研究は順調に進展していると言える。しかし、まだ明らかとなっていない部分も数多くさらに研究を進める必要があると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに見出したcaveolin1による分裂軸制御機構は、分裂期の細胞膜表層での限定的な分子局在機構の一端を見出したに過ぎないと考えられる。caveolin1が集積した膜構造にどのような分子が集積してくるのか、またそれらの分子が分裂軸制御にどのように関わるのかを探求する必要がある。分裂期の細胞の経時観察とその画像解析を組み込んでさらに研究を発展させる予定である。
|