研究領域 | シリア・中心体系による生体情報フローの制御 |
研究課題/領域番号 |
25113519
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大森 義裕 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (90469651)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 繊毛 / 視細胞 / IFT / 外節 / オプシン / 網膜色素変性症 |
研究概要 |
オプシンのシリアを介した輸送機構は、視細胞が光情報感知システムとして働くことに必須であり、オプシンの異所的な局在は、網膜色素変性症などの視覚障害を引き起こす。オプシンの輸送は鞭毛内輸送(Intraflagellar transport; IFT)と呼ばれるシリア内の特殊な輸送機構を介して行われる。昨年度は、視細胞の運命決定因子Otx2の網膜特異的欠損マウスのマイクロアレイ解析の結果から得られたシリア関連因子の同定とその機能解析を進めてきた。この解析から3種類の新規シリア局在蛋白質を見出した。ゼブラフィッシュ変異体については、これまでに、視細胞の脱落とシリア形成異常を示す新規変異体3系統を同定し、2系統については原因遺伝子の同定に成功している。これらのうち1系統について免疫組織学的解析により、視細胞のシリア形成異常やIFTの局在、オプシンの輸送に異常が観察された。さらに、内耳有毛細胞や鼻腔上皮細胞、腎臓上皮細胞など視細胞以外の細胞のシリアに異常が観察された。また、繊毛キナーゼの解析においては、繊毛キナーゼが網膜神経上皮の繊毛形成に重要であり、繊毛キナーゼがキネシンをリン酸化することで、繊毛先端におけるIFTの折り返し機構を制御することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Otx2網膜特異的欠損マウスのマイクロアレイ解析の結果から、新規シリア局在蛋白質の同定に成功し、シリア誘導培養細胞系において融合蛋白質のシリアへの局在を確認したことは、1年目としては順調な結果であると考えている。また、これらの因子のノックダウン解析を行ってきた。条件検討を含めて、今後はその機能を詳しく解析したい。また、繊毛キナーゼの解析においては、繊毛キナーゼが網膜神経上皮の繊毛形成に重要であり、繊毛キナーゼがキネシンをリン酸化することで、繊毛先端におけるIFTの折り返し機構を制御することを明らかにし、論文としてまとめた。また、ゼブラフィッシュ変異体の解析も順調に進んでおり、論文発表の準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、同定された分子がオプシンの輸送にどのようなメカニズムで関与しているかを、無血清培地によってシリア形成を誘導させた哺乳類培養細胞を用いたアッセイや生化学的な実験を通して明らかにする。また、シリア関連遺伝子欠損マウスの解析では、視細胞欠失マウス網膜のマイクロアレイ解析から得られた情報をもとに視細胞で発現する新規なシリア関連因子の機能解析を進める。まず、シリア形成を誘導させた培養細胞の系を用いてこれらの因子がシリア形成に関与するかどうか、IFTの局在に影響を与えるかどうかを調べる。得られた結果を取りまとめ、学会発表および、論文発表を行う計画である。
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