研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
25113703
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
溝口 貴正 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10645419)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞集団移動 / ライブイメージング / 細胞骨格 / ゼブラフィッシュ / 側線原基 |
研究概要 |
動物の器官形成などで見られる細胞集団の協調した移動には移動方向やスピードといった情報の細胞間での共有が必要である。しかしながら情報共有を担う分子メカニズムは不明である。本研究では集団細胞移動の観察に適したゼブラフィッシュの側線原基をモデルとして既存の蛍光プローブを利用した細胞骨格や細胞内シグナル活性をライブイメージング可能なトランスジェニックラインを利用し、側線原基内での情報共有システムの解明を目指す。本年度はこれまでに作製済みであったアクチンフィラメントの動態を観察可能なトランスジェニックラインTg(UAS-lifeact-mCherry)および側線の一部でGAL4を発現するTg(hspGFF15A-GAL4)を用いて観察を行った。その結果側線原基内の各細胞において一定方向に安定した強いアクチンの集積が見られることが分かった。またE3ユビキチンライゲースであるのMib1変異体でこのアクチンの集積がランダマイズし、ターンオーバーも促進されることが分かった。Mib1変異体でアクチン動態の変化が見られる分子メカニズムは今のところ不明であり、今後の課題である。 また本年度はこれまでに作製したトランスジェニックラインに加えて側線原基全体でGAL4を発現できるTg(CldnB-tdTomato-GAL4)や、細胞内のカルシウムのイメージングが可能なTg(UAS-GCaMP4)等の作製を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作製済みのトランスジェニックラインの観察から、側線原基における各細胞のアクチン動態のライブイメージングを行うことができた。またE3ユビキチンライゲースであるMib1がアクチン動態に影響を与えることも見出した。よってこの成果は当初研究の目的であった“側線原基内のパターン秩序のイメージングとそれを制御する分子メカニズムの解明”につながる成果であり、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
(A)Mib1によるアクチン動態の制御機構の解析 Mib1がアクチン動態に関わることが明らかとなったため、その分子機構について解析する。申請者はこれまでにE3ユビキチンライゲースであるMib1が細胞移動・接着に関わるp120ctnをユビキチン化することを見出している。そこで側線原基の細胞における強調したアクチン動態にMib1によるp120ctnユビキチン化が関わるかを検証したい。 (A-1)p120ctnは過剰発現により細胞移動を亢進することが報告されている。そこでMib1変異体で見られるアクチン動態のターンオーバーの亢進はp120ctnが機能亢進した結果であることが推測される。よってp120ctnの機能阻害を行うことによりmib1変異体で見られるアクチン動態の異常が低減できると推測される。よってこれを検証する。 (A-2)p120ctnはカドヘリンの局在安定化に関わることも知られている。また側線原基の移動においてカドヘリンを介した細胞接着が重要であることが知られている。そこでMib1側線原基におけるカドヘリン動態を明らかにする。解析はE-Cadherin-EGFPを用いたFluorescence Recovery after Photo-bleaching法により行う。 (B)他のトランスジェニックラインを用いたライブイメージング 微小管動態を観察できるTg(UAS-hMAP4-EGFP), Tg(UAS-EB1-EGFP)を用いた側線原基内における微小管動態の観察やTg(UAS-GCaMP4)を用いた側線原基におけるカルシウム動態のイメージングを行う。
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