公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
脳内の広範囲を3次元的に高速で走査することのできる顕微鏡システムを構築する。本研究では音響光学偏向素子(AOD)と電気変調レンズ(ETL)を用いて、XY平面の走査をAODで、Z方向の走査をETLで行う。これにより、200 X 200 X 50 umの範囲を300 X 300 X 50ピクセルの解像度、>数 Hzのサンプリングレートでイメージングすることを目標とする。次に、開発した顕微鏡でシナプス活動を可視化するための方法を開発する。本年度は、新しいスキャナを搭載するための顕微鏡システムについて設計を行い、顕微鏡システムの骨格について構築を行った。また、AODを用いた高速走査の前段階として、共振スキャナを用いた高速走査による実験条件の検討を行った。高速走査では1ピクセルあたりの走査時間が、通常走査に比べて極めて短いため、シグナル不足から深部イメージングに困難が予想されたが、大脳皮質においては蛍光タンパク質を発現するニューロンについて、脳深部約800um程度まで観察できることが確認された。従って、現在構築中のAODによる走査によって脳深部から十分なシグナルが得られることが予想される。また、シナプス活動を可視化するために、高感度カルシウムプローブタンパク質を大脳皮質ニューロンに導入する実験系の確立を行った。高感度カルシウムプローブタンパク質をコードするウイルスベクターを大脳皮質に注入することで、少数のニューロンにプローブを発現させ、自発シナプス入力および感覚シナプス入力を再現よく観察できることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書に記載した本年度の研究実施計画について、その目標をほぼ達成しており順調に進行している。
AODを用いた高速2光子顕微鏡を完成させる。それ以外に本研究に必要な技術開発(シナプス入力可視化法、ウイルスベクターによるカルシウムセンサーの導入)はすでに完了しており、今後、構築した高速2光子顕微鏡を用いた実験に活用していく。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
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