研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
25113713
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 寿人 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (70127083)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 転写因子複合体 / 蛍光標識 / FRAP / エピブラスト幹細胞 / 体細胞分化 |
研究概要 |
SOX2をはじめとする多くの転写因子は、単独では作用せず、他の転写因子をパートナーとした複合体として作用する。これらの転写因子は、核内でどのような分子過程をへてクロマチン上の制御標的に到達して、制御機能を発展するのか?その分子過程は胚発生のプロセスでどのように変化するのか?これらの問いに答えるために、着床後胚由来の幹細胞で体細胞系列の直接の前駆体であるエピブラスト幹細胞をもちいて、エピブラスト幹細胞から体細胞への分化過程での、転写因子複合体と核内のクロマチンとの相互作用を研究している。 (1)エピブラスト幹細胞における転写因子の機能に関わる核内相互作用を、転写因子変異体を活用して解析している。エピブラスト幹細胞と胚の繊維芽細胞を比較しながら、蛍光標識転写因子ならびにそれらの変異体のFRAPキネティクスの素データを多数蓄積した。パートナー因子との相互作用ができない変異体や、DNAに結合できない変異体転写因子を用いた。蓄積されたデータを分析して、異なった細胞状態での転写因子複合体とクロマチンとの相互作用の違いを明らかにする計画である。 (2)転写因子の作用が細胞周期に依存している可能性があるために、蛍光標識したSOX2と、細胞周期に依存して蛍光を変化させるFUCCIを併用して、SOX2のFRAPの細胞周期依存性を解析した。試行実験のデータの範囲では、G1期とS/G2期の間で、FRAPキネティクスに大きな違いは認められていない。 (3)ES細胞やエピブラスト幹細胞でSOX2と複合体をつくるPOU5f1のGFPとの融合タンパク質を作成し、それがSOX2との組み合わせで転写活性化能を持つことを確認した。 (4)In vitroの実験で、SOX2とPAX6の複合体がDNAに結合すると、SOX2単独での結合よりも大きなDNA屈曲を引き起こすことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SOX2については、研究の中核部分に関する素データは多数蓄積しており、これからその多数のデータをさまざまな観点から分析して、論理的な解析に向かう段階に達している。
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今後の研究の推進方策 |
野生型転写因子と、変異体転写因子のFRAPキネティクスの比較、また細胞種によるFRAPキネティクスの比較によって、転写因子複合体の核内過程に関するモデルを作成し、data fittingによって、そのモデルを改善してゆく。
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