公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
マラリア原虫のスポロゾイトはまず肝細胞に感染する。このステージでは特異的CD8+ T細胞が感染防御に有効である。これまでの研究で、特異的CD8+ T細胞が感染肝細胞周囲にクラスターを形成し、原虫排除に至ることを、モデル原虫抗原卵白アルブミンOVAを用いた生体イメージングの系で示してきた。本研究ではこの実験系をさらに進め、肝臓内の樹状細胞、クッパー細胞、NK細胞などが肝細胞期防御にどのように関わるか、さらに記憶CD8+T細胞の動態とナイーブT細胞の動態の比較について、多光子レーザー顕微鏡を用いた生体イメージングにより解明することを主な目的としている。多種類の細胞を観察するため、多色同時解析が可能なように顕微鏡の設定条件を改善すると共に、マラリア原虫は従来のgfp発現原虫に加えて、赤系の蛍光色素tdTomatoとOVAを発現する原虫を作成した。この原虫を用いることにより、組織特異的にegfpを発現するマウスを使用することが可能になり、T細胞と原虫に加えて、様々な肝臓内の細胞を同時にイメージングすることが可能となる。免疫記憶細胞については、当初DsRed発現OVA特異的T細胞をマウスに受け身移入し、OVAを免疫することにより記憶細胞樹立の試みを行ったが、宿主側にDsRedタンパクに対する免疫応答が誘導されて、長期間の内には移入したT細胞が拒絶されてしまった。現在は、egfpを発現するT細胞を用いて免疫記憶細胞を作ることに計画変更し、実験を進めている。
2: おおむね順調に進展している
この一年間は、研究準備期間ともいえる期間で、機器設定や必要な原虫の作成、マウスの収集をを行った。またイメージングの人材育成も行った。準備はおおむね整ったので、二年目には予定した実験を順次行いデータを集める予定である。
実験計画はおおむね順調に進んでいる。マラリア肝細胞期の研究は、蚊を飼育してスポロゾイトを集めるなど実験準備に時間がかかる。この実験サイクルを確実に回すことにより、効率良く実験を行うことができるようにする。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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