本研究は膜タンパク質の細胞外領域を可溶化するプロセシング機構“シェディング”をリアルタイムイメージングし、シェディングが局所的に起こるのか、起こるとしたらどのような場所で起こるのか、明らかにする事を目的としている。昨年度の研究から、強制発現したシェディングターゲットは内在性のシェディングターゲットに比べてシェディングを受けにくい事がわかった。そこで当初予定していたように強制発現したシェディングターゲットを観察するのではなく、内在性のシェディングターゲットを観察する事でシェディングをリアルタイムイメージングできないか検討した。その結果、 ・シェディングターゲットの1つであるM-CSF(macrophage-colony stimulating factor)受容体の細胞外領域に対する抗体で、マクロファージ細胞表面の内在性M-CSF受容体を効率よく蛍光染色できる事 ・M-CSF受容体抗体による蛍光染色像が細胞表面にドット状に観察される事 ・M-CSF受容体抗体で蛍光染色した後にシェディングを誘導する細胞外刺激であるLPS(lipopolysaccharide)を加えて培養すると、蛍光シグナルが減弱する事 が明らかとなり、内在性のM-CSF受容体は抗体と結合した状態でもLPS存在下で効率よくシェディングされる事が確認できた。その結果、M-CSF受容体抗体で蛍光染色した後に蛍光顕微鏡下でLPS刺激を加えれば、シェディングをリアルタイムイメージングできる可能性が示唆された。
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