研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
25113720
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
植田 祥啓 関西医科大学, 医学部, 講師 (90533208)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 蛍光生体イメージング / 胸腺細胞の選択 / 自己反応性T細胞 |
研究概要 |
胸腺細胞の負の選択を可視化するために、Caspase3のFRETセンサーSCAT3の遺伝子導入マウスをOVA特異的TCRトランスジェニックマウスに掛け合わせ、OT-I SCAT3マウスを得た。このマウスからCD69陽性の胸腺細胞を単離し、胸腺上皮細胞にOVAを発現するRIP-OVAマウス由来の胸腺スライスに導入し、胸腺組織中でドナー胸腺細胞のアポトーシスが観察されるかどうかを2光子顕微鏡により、観察したところ、抗原を認識して組織中に停止した胸腺細胞において、FRET/CFP値の低下すなわちCaspase3の活性化が上昇が観察された。FRET/CFP値の低下した胸腺細胞はその後、細胞の小片に断片化した。また、胸腺細胞の制御性T細胞への分化を可視化するために、制御性T細胞のマーカーであるFoxP3-IRES-EGFPをノックインしたマウスとOT-IIを掛け合わせOTII-FoxP3GFPマウスを得た。このマウス由来の胸腺細胞をRIP-OVAマウス由来の胸腺スライスに導入し、2-4日間培養したところ、ドナー細胞のうち、4日目に10-50%のFoxP3陽性細胞を誘導できることをFACSにより確認した。今後、この実験系を用いて、FoxP3陽性になる現場を可視化する予定である。細胞接着の強度を測定するためにRap1の活性化を示すRap1のFRET sensorや免疫シナプス上に集積するtailinのGFP可視化プローブを遺伝子導入したマウスは、ES細胞レベルでは導入が確認されており、今後キメラマウスの作製、マウス系統の樹立をしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胸腺スライスの系において抗原を発現するmTECと抗原特異的な胸腺細胞の相互作用は観察されたが、このスライスの系において胸腺細胞の選択が誘導されるかどうかは不明であった。今年度の実験により、胸腺スライスの培養系において、胸腺細胞の負の選択や制御性T細胞の選択が誘導されることが確認され、イメージングによりその現場が捉えられることができる、あるい可能になりつつある。Rap1センサーやtalin1-GFPなどの接着強度の蛍光センサーはマウスのROSA遺伝子座にノックインする手法で導入して現在ES細胞レベルで導入が確認されている。T細胞の活性化マーカーはレトロウイルスを用いた骨髄幹細胞移植により、試みているが導入効率の面で改善が必要で現在検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に確立した胸腺細胞のアポトーシスを可視化する系を用いて、抗体によりTCRとその補助刺激分子、あるいはインテグリンなどの接着分子をブロックした場合の胸腺細胞のアポトーシスのKineticsを測定する。また、Rap1やMst1/Mst2に関しては遺伝子欠損マウスにより同様の検討する。OT-II;FoxP3GFPマウスを用いることにより、CD69+胸腺細胞が抗原特異的に胸腺スライス上でFoxP3陽性T細胞が分化することがフローサイトメーターにより、確認されたので、ライブイメージングによりFoxP3陽性T細胞の分化の現場を捉えることを目指す。Rap1センサーやtalin1-GFPなどの接着強度の蛍光センサーはマウスのROSA遺伝子座にノックインする手法で導入して現在ES細胞レベルで導入が確認されており、今後キメラマウスの作製、マウス系統の樹立をする。樹立され次第、イメージングに利用していく。T細胞の活性化マーカーはレトロウイルスを用いた骨髄幹細胞移植により、試みているが導入効率の改良し、イメージングに利用できるようにする。
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