公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
今年度(平成25年度)に得られた成果は以下の通りである。(1)バゾプレッシン-eGFP、オキシトシン-mRFP1、c-fos-eGFPおよびc-fos-mRFP1トランスジェニックラットの脳内に発現した蛍光タンパクを蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡を用いて詳細に観察した。その結果、バゾプレッシンおよびオキシトシンの細胞質内での局在を小胞レベルで観察でき、さらに立体的に再構築することができた。c-fos-eGFPおよびc-fos-mRFP1トランスジェニックラットを用いて適刺激(例えば、浸透圧刺激)後のc-fos遺伝子発現を単一細胞の核内にeGFP蛍光もしくはmRFP1蛍光で観察することができた。(2)オキシトシン-mRFP1×c-fos-eGFPダブルトランスジェニックラットを交配により作出し、そのラットの腹腔内にオキシトシンニューロンを特異的に活性化するためにCCK-8を投与した。その結果、mRFP1蛍光で同定したオキシトシンニューロンの細胞核内にニューロンの活性化の指標となるc-fos遺伝子の発現を示すeGFP蛍光を観察することができた。(3)バゾプレッシン-eGFP×オキシトシン-mRFP1ダブルトランスジェニックラットを交配により作出し、そのラットの視床下部視索上核を含む脳スライス標本を作製した。その結果、生細胞の状態でeGFP蛍光もしくはmRFP1蛍光を同一スライス標本で同定することができ、かつ比較的長時間にわたりその蛍光を観察することができた。(4)光興奮タンパク(チャネルロドプシン2)をc-fos遺伝子に挿入した融合遺伝子を作製し、トランスジェニック動物を作出するための準備が整った。
2: おおむね順調に進展している
(1)バゾプレッシン-eGFP、オキシトシン-mRFP1、c-fos-eGFPおよびc-fos-mRFP1トランスジェニックラットを用いて、それぞれの蛍光タンパクの細胞内での局在について蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡を用いて立体構造の再構築を含めて詳細に観察することができるようになった。(2)オキシトシン-mRFP1×c-fos-eGFPダブルトランスジェニックラットを用いて細胞質内のmRFP1蛍光と細胞核内のeGFP蛍光を同一細胞で同時に観察することができた。今後、生細胞でも同様の観察ができるようにしたい。(3)バゾプレッシン-eGFP×オキシトシン-mRFP1ダブルトランスジェニックラットの脳スライス標本を用いて、生細胞の状態でeGFP蛍光もしくはmRFP1蛍光を観察することができたが、細胞質内の小胞レベルの変動を観察できるまでには達していない。今後、適刺激によりバゾプレッシンもしくはオキシトシンが開口放出される様子を観察できるようにしたい。(4)光感受性タンパク遺伝子導入動物の作出までに至っていないが、次年度に予定している。
(1)バゾプレッシン-eGFP、オキシトシン-mRFP1、c-fos-eGFPおよびc-fos-mRFP1トランスジェニックラットを用いてそれぞれダブルトランスジェニックラットを交配により作出し、in vitroおよびin vivoの状態での観察ができるように実験方法を工夫する必要がある。(2)バゾプレッシン-eGFP×オキシトシン-mRFP1ダブルトランスジェニックラットの脳スライス標本および急性単離したニューロンを用いて、生細胞の状態で適刺激後の細胞質内の小胞の動態(開口放出される様子)を観察できる解像度を達成するための工夫が必要である。(3)光感受性タンパク遺伝子導入動物の作出とその系統の繁殖を行い、光感受性タンパクが発現している系統を確立する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 3件)
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