公募研究
T細胞が抗原提示細胞から情報を受け取る際、T細胞受容体(TCR)とその下流のシグナル伝達分子から成る凝集塊「TCRマイクロクラスター」が重要である。T細胞の過度な活性化を制御し、自己免疫疾患やアレルギーを回避するよう、TCRマイクロクラスターの視点からの抑制性メカニズムの解明が必要である。本課題研究では、E3ユビキチンリガーゼc-ClbおよびCbl-bが構成する新規クラスターを可視化し、TCRの取り込み・分解とT細胞活性の抑制機構の解明を目的とした。ユビキチンのイメージング解析として、c-CblおよびCbl-bのエフェクター分子ユビキチンを可視化するため、ユビキチンと蛍光タンパクのキメラ分子、リジン残基K48およびK63のユビキチン結合特異的新規バイオプローブを作成した。TCRマイクロクラスターに凝集するユビキチンはNF-kB経路の活性化を示すK63がT細胞補助刺激分子の刺激依存的に凝集を示し、同時にK63によるTCRシグナルの活性化とインターナリゼーションを示す結果でもあった。特異的モノクローナル抗体と特異的バイオプローブを用いた実験結果は同じであった。直鎖型ユビキチンのイメージング解析では、NF-κB経路の活性化に重要と考えられている第一メチオニン残基(M1)を、M1特異的に認識するプローブを用いて特異的ユビキチンの局在を可視化し、M1結合を示すユビキチンはむしろNF-kB活性中心にあり、TCRマイクロクラスーにはない、という局在の違いを示せた。c-CblおよびCbl-b遺伝子欠損マウス由来末梢T細胞を用いて、c-CblおよびCbl-bの局在と、TCRマイクロクラスターの挙動を可視化したところ、それぞれのCblファミリー分子の局在のドメイン依存性が異なること、Cbl-b遺伝子欠損細胞にて激しくTCRの取り込みが低下していること、TCR下流のシグナル伝達分子が停滞することを示した。K63ユビキチンのTCRマイクロクラスターへの凝集は、c-CblではなくCbl-bに大きく寄与していた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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