研究領域 | 植物細胞壁の情報処理システム |
研究課題/領域番号 |
25114504
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
笹部 美知子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00454380)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞質分裂 / 細胞板 / フラグモプラスト / 微小管 / 微小管結合タンパク質 |
研究概要 |
本研究では、植物の細胞質分裂を制御する中心的な制御系であるMAPキナーゼカスケードを基軸として、この経路の下流因子の探索・解析を行うことにより、植物の細胞板形成の分子機構を明らかにすることを目指している。本年度は、1) 細胞板形成を制御するシロイヌナズナのMAPキナーゼカスケードの構成因子であるMPK4の下流因子について微小管結合タンパク質に焦点を当てて網羅的なスクリーニングを行った。培養細胞より単離精製した微小管結合タンパク質と活性化型MPK4を用いてリン酸化反応を行った後、MPK4特異的にリン酸化されるタンパク質について質量分析による同定を進め、現在までにいくつかの新しい候補因子を得ることができた。2) 先行研究としてin silico解析によりMPK4の基質候補として解析を進めているキネシン様タンパク質、AtKinesin13A とBについて、レポーターを用いて植物体における遺伝子の発現領域を調べた。両遺伝子は共に維管束組織、根の分裂領域及び、側根原基において強く発現していることが分かった。これらの結果は、これらの因子が細胞分裂時に機能していることと矛盾しない。3) 同定されたそれぞれの因子の分子間相互作用、また遺伝学的相互作用を解析するために、本年度は、これまでに同定してきたMAPキナーゼカスケードの構成因子やその下流因子を利用して細胞板形成部位やフラグモプラストを標識する可視化マーカーを作製し、これらの可視化マーカーを複数導入した培養細胞株を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞板形成に関わるMAPキナーゼカスケードの新規標的分子について、候補因子の同定は順次進んでいる。また、同定した因子の解析を進めるためのマーカータンパク質を発現する培養細胞株も樹立できたので、研究はおおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
MPK4特異的にリン酸化される未同定のタンパク質について、質量分析の専門家との共同研究を進める。同定できた候補因子については、樹立したマーカー発現培養細胞株における挙動を解析することや生化学的解析を通して、細胞板形成への関与を検証し、MAPKカスケードの下流で働く因子の全体像を明らかにすることを目指す。また、細胞板形成は、小胞の融合とフラグモプラストの拡大が協調して起こる複合的なイベントであるが、この協調的制御への本MAPキナーゼカスケードの関与を検証するため、今回樹立したMAPキナーゼカスケードの構成因子可視化マーカーを発現する培養細胞株を用いて、薬理学的解析とあわせて詳細なライブセルイメージング解析を進めたい。
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