公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は低カルシウム感受性と細胞壁組成の関係、およびカルシウム輸送と細胞壁の関係の二つの側面から研究を進めている。本年度はカルシウム欠乏感受性変異株の一つが新たなカロース合成酵素に変異を持つことを明らかにした。また、これらの変異株のカロース蓄積量を定量した。また、カロース分解酵素を過剰発現する植物を作出しカルシウム感受性を検定したところ、カルシウム欠乏に対する感受性が高まっていた。また、別のカルシウム感受性変異株の解析をおこなったところ、この変異株はカスパリー線の形態に異常が見られることを明らかにした。この変異株では地上部へのカルシウム輸送が影響を受けていると考えられる。遺伝子マッピングと次世代シークエンサーによる解析を行い、候補原因遺伝子は1つに絞り込み、候補遺伝子のT-DNA挿入株の形態を観察したが、カスパリー線に異常はなく、低カルシウム感受性を示さなかった。また、この変異株のカスパリー線の形態について詳細な解析を行った。根を透明化し、propidium iodideによりカスパリー線の主成分であるリグニンを、calcofluor whiteによりセルロースを染め、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。その結果、内皮細胞の中心柱側の面で異所的にリグニンの蓄積が起きていることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
当初計画した研究は進んでおり、カルシウムと細胞壁の相互作用についての新しい知見が得られつつある。
予定通り推進していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Plant Physiology
巻: 163 ページ: 1699-1709
10.1104/pp.113.225995