公募研究
直径10 mm程度の凍結試料を用いて、高速液体クロマトグラフィーおよびイオンクロマトグラフィーによるリグニン前駆体および糖類の定量分析、樹脂法埋試料作製ならびに薄切片の紫外線顕微鏡・偏光顕微鏡・染色切片の顕微鏡観察、そして低温二次イオン質量分析/走査電子顕微鏡(cryo-TOF-SIMS/SEM)分析による各種生体成分のケミカルマッピングを行った。急速凍結されたイチョウの木口面および柾目面について、cryo-TOF-SIMS/SEM分析を行った。形成層から木部側に向かって1細胞ずつ、その細胞断面内におけるマススペクトルを抽出した。得られた各マススペクトルからコニフェリン、スクロース、カリウムのイオン量を評価した。細胞の木化段階については紫外線顕微鏡・偏光顕微鏡・光学顕微鏡・cryo-SEM観察結果を比較することで同定した。結果より、コニフェリン由来フラグメントイオンは、分化中木部において徐々に貯蔵量が増大し、複合細胞間層木化開始時に少し減少したが、その後も貯蔵される傾向にあった。また二次壁の木化開始と同時に急激に減少することが示唆された。放射性同位体ラベルされたコニフェリンの投与実験に関する過去の研究では、複合細胞間層形成期および二次壁形成期の細胞においてリグニンへのコニフェリン取り込みが起こると報告されている。本研究と既報の結果より、分化中木部の細胞内におけるコニフェリンの貯蔵量推移およびリグニンへの取り込み時期は、細胞壁の木化過程とよく一致しており、コニフェリンがリグニン前駆体の貯蔵・輸送形態であることを示唆した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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