公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
花粉管誘引とは、雌しべ内部を伸長する花粉管を卵細胞のある胚のうへと導くメカニズムであり、被子植物の受精にとってきわめて重要である。申請者の所属する研究室や、申請者自身の過去の研究により、胚のうへの短距 離シグナルについての理解が深まってきている。申請者はさらに、子房上部域での花粉管の方向性制御に関わる研究から、胚珠による長距離誘引という、まったく新規のシグナル伝達機構を発見した。本研究課題では、この 長距離誘引に関わる因子を同定し、短距離シグナルとの機能の比較をおこなう。また、これらのシグナル分子を 近縁種からも単離し、シグナル因子の構造比較をおこなう。(1) 長距離花粉管誘引因子の同定Torenia fournieri の胚珠抽出液を用いたカラム分画と質量分析による生化学的な分析により、長距離花粉管誘引因子は熱耐性のある分子量3.5~27kDaのタンパク質であることが明らかになっていた。本年度は活性画分に含まれる候補タンパク質をいくつか同定した。それらをコードするcDNAをクローニングして大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質を作成し花粉管誘引アッセイを行ったところ、そのうちの1つのタンパク質が有意に花粉管を誘引した。このタンパク質は新規の分泌型タンパク質であり、被子植物に広く保存されていた。(2) 短距離花粉管誘引因子 LUREs の分子構造解析T. fournieri 由来のLURE1であるTfLURE1と、T. concolorのTcLURE1は、8 アミノ酸の違いで同種花粉管に高い誘引活性を示す。LUREsの活性を保ったまま構造を明らかにするためNMRによる構造解析をおこなう。本年度はLUREタンパク質の発現精製条件の検討を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
新規の花粉管ガイダンス因子の同定に成功した。
同定された新規花粉管ガイダンスタンパク質について、それをコードする遺伝子の機能欠失株の作成や、このタンパク質の抗体の作成をおこなう。NMRによるLUREの構造解明をおこなう。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Functional Ecology
巻: 28 ページ: 450-457
10.1111/1365-2435.12165
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