公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
①nop1変異体の表現型を詳細に解析し、原因遺伝子NOP1についてE3ユビキチンリガーゼ活性を生化学的に解析した上で、論文としてまとめ発表した(発表論文1)。さらにNOP1の機能メカニズム、特に発現機能部位について、詳細に解析した。まずNOP1の発現を蛍光タンパク質レポーターとの融合遺伝子を作製して詳細に解析したところ、NOP1が成長点を含む葉状体全体で発現していることを明らかにした。次に成長点付近での発現パターンの異なる2種のプロモーター(発表論文2)を用いて、気室形成が開始される成長点付近と成長点以外の部位におけるNOP1の機能について解析した。結果、NOP1の気室形成制御における機能部位は、成長点付近に限定されることが示唆された。またU-boxドメインを欠損したNOP1遺伝子は、nop1の表現型を回復させないことが明らかとなり、NOP1の機能にE3ユビキチンリガーゼの機能が必須であることが示唆された。②ゼニゴケ胞子のEMS(エチルメタンスルホン酸)による変異処理技術を確立し、気室形成に異常が確認される変異体を3株単離した。今後さらなるスクリーニングを行いながら、得られた3株の変異体については、表現型の詳細な解析と野生株系統との交配による連鎖解析を行う。表現型が1遺伝子座に連鎖することが確認された変異体については、次世代DNAシークエンサーによる変異同定を試みる計画である。昨年度、外来DNA断片の導入により得られたゼニゴケ変異体において、次世代DNAシークエンサーを用いた変異同定に成功した。
2: おおむね順調に進展している
NOP1の分解ターゲットの同定に向けて、NOP1のドメイン機能解析を進めることが出来た。またNOP1の機能部位について更に詳細な知見を得ることが出来た。これらの成果、今年度予定しているプロテオーム解析によるNOP1相互作用因子の同定実験を行う予備的検討が、ほぼ完了したといえる。また新規気室形成異常変異体についても、実験系の確立が完了し、さらに順調にスクリーニングが進められている。
離生細胞間隙形成を制御するE3ユビキチンリガーゼNOP1の相互作用因子の同定に向けて、U-boxを欠損させたNOP1遺伝子に免疫沈降に用いるための蛍光タンパク質タグを融合したコンストラクトを作製し、ゼニゴケへの導入を進めている。形質転換体の確立後、連携研究者である奈良先端科学技術大学院大学の深尾と打ち合わせの上、免疫沈降実験を行い、質量分析によるプロテオーム解析を進める。新たに単離された気室形成変異体について、連鎖解析を進め、次世代DNAシークエンサーを用いた原因遺伝子同定を試みる。計画班と共同で、細胞壁再構成に関わる酵素遺伝子の整理と解析を進める。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Transgenic Research
巻: 23 ページ: 235-244
10.1007/s11248-013-9746-z
The Plant Cell
巻: 25 ページ: 4075-4084
http:/​/​dx.​doi.​org/​10.​1105/​tpc.​113.​
Genome Biology and Evolution
巻: 5 ページ: 1836-1848
doi: 10.1093/gbe/evt137
Plant and Cell Physiology
巻: 54 ページ: 1736-1748
10.1093/pcp/pct119
Scientific Reports
巻: 3 ページ: 1532
10.1038/srep01532