公募研究
植物には、細胞と細胞の間が気体で満たされた細胞間隙をもつ組織(通気組織)が多くみられる。根や葉の組織内部に張り巡らされた細胞間隙は、呼吸や光合成の基質である酸素(O2)や二酸化炭素(CO2)を植物体内に行き渡らせる上で重要な組織構造である。隣接する細胞が離れて形成される離生細胞間隙では、隣接する細胞間で共有されている一次細胞壁の再構成が起こると考えられているが、その発生の分子メカニズムについては未解析であり、現在までほとんど知見がない。本研究では基部陸上植物ゼニゴケの気室形成をモデルに、以下の解析を行い、植物の離生細胞間隙形成の制御メカニズムについて分子遺伝学の手法により解析した。今年度は、NOP1のE3ユビキチン活性と機能の関係について詳細に解析し、その情報を元にNOP1の標的タンパク質の同定を進めた。NOP1のE3ユビキチンリガーゼ活性に必要なU-boxドメインを欠失した⊿UboxNOP1-Citrine発現株をnop1変異体に導入した形質転換体⊿UboxNOP1-Citrine/nop1を作出し解析したところ、気室形成の回復は見られなかったが野生型NOP1-Citrineと同様に細胞膜にCitrine蛍光が観察された。このことからNOP1はC末端側のドメインを介して細胞膜に局在するが、その機能にはE3リガーゼ活性を有するU-boxドメインが必須であることが明らかとなった。さらに⊿UboxNOP1-Citrine/nop1株からの免疫沈降実験について、種々の条件検討を行った後、連携研究者の深尾らと共同でLC-MS/MS解析により、NOP1複合体に含まれるタンパク質同定の試みを数回行った。予備的な段階ではあるが、セリンスレオニンキナーゼ、ロイシンリッチリピートをもつ受容体様キナーゼ(LRR-RLK)や微小管関連因子、細胞壁再構築関連因子などが同定された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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