研究領域 | 感染・炎症が加速する発がんスパイラルとその遮断に向けた制がんベクトル変換 |
研究課題/領域番号 |
25114701
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
渋谷 和子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (00302406)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 免疫学 / 癌 / ウイルス / 免疫系受容体 / 炎症 |
研究概要 |
DNAM-1は免疫細胞に発現する活性化受容体である。私達は、これまでにDNAM-1が免疫応答を活性化してウイルス感染細胞やがん細胞などの標的細胞を排除することを明らかにしてきた。一方、私達はH23~H24年度当該領域公募研究にて、DNAM-1が炎症にて惹起される発がんを、むしろ促進していることを見いだした。炎症が発がんを促進しているウイルス感染発がんにおいて、免疫応答はウイルスを排除して発がんを抑制する一方で、残存ウイルスに対する炎症を惹起して発がんを促進するという相反する働きをしていると考えられる。そこで、本研究ではウイルス感染発がんにおけるパラドキシカルな免疫応答の分子メカニズムを、DNAM-1に着目してHCV感染モデルを用いて解析することとした。 HCV感染モデル系として、当該研究班内共同研究にて東京都医学総合研究所の小原道法先生よりMx1-Cre/CN2-29トランスジェニックマウスをご供与いただいた。Mx1-Cre/CN2-29トランスジェニックマウスは、肝細胞にHCV抗原を発現するマウスであるが、誘導性発現系を利用しているため、HCV抗原に対する免疫寛容を免れることができる。そのため、肝細胞に発現するHCV抗原に対する免疫応答が惹起され、急性肝炎、慢性肝炎、肝癌の発症までを観察できる優れた系である。このマウスと、私達の研究室にて樹立したDNAM-1遺伝子欠損マウスを交配し、DNAM-1遺伝子欠損Mx1-Cre/CN2-29トランスジェニックマウスの樹立を行った。今後は、このマウスにHCV抗原の発現を誘導して、急性肝炎、慢性肝炎、肝癌の発症や病態におけるDNAM-1の役割を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNAM-1遺伝子欠損Mx1-Cre/CN2-29トランスジェニックマウスを樹立した。
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今後の研究の推進方策 |
私達は、これまでにDNAM-1が免疫応答を活性化してウイルス感染細胞やがん細胞などの標的細胞を排除することを明らかにしてきたが、その一方で、DNAM-1が炎症にて惹起される発がんを、むしろ促進していることを見いだした。炎症が発がんを促進しているウイルス感染発がんにおいて、免疫応答はウイルスを排除して発がんを抑制する一方で、残存ウイルスに対する炎症を惹起して発がんを促進するという相反する働きをしていると考えられる。 本研究では、感染がんの発がんプロセスの分子メカニズムを、免疫的アプローチにより明らかにすることを目的とし、DNAM-1分子に着目して、ウイルス感染発がんにおけるパラドキシカルな免疫応答の分子メカニズムを、DNAM-1に着目してHCV感染モデルを用いて解析する。DNAM-1遺伝子欠損Mx1-Cre/CN2-29トランスジェニックマウスを樹立できたので、今後は、このマウスにHCV抗原の発現を誘導して、急性肝炎、慢性肝炎、肝癌の発症や病態におけるDNAM-1の役割を解析する。
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