本研究では、これまでに開発した「自己ゲル化核酸」技術を基盤として、自然免疫を活性化する核酸ハイドロゲルを新たに創出する。平成25年度には、DNAハイドロゲルを構成する多足型構造核酸の最適化検討を行い、接着末端塩基数が8の6本足構造DNA(hexapodna)で作製したDNAハイドロゲルが、、最も優れた粘弾性を示すことを明らかにした。また、CpGモチーフを含むhexapodnaおよびCpG DNAハイドロゲルを用いた検討から、CpG DNAハイドロゲルが自然免疫を効率よく活性化することを見出した。平成26年度には、CpG DNAハイドロゲルによる抗腫瘍効果について検討した。卵白アルブミン(OVA)をモデル抗原として選択し、これを各種DNAと共にマウスに免疫したところ、OVA/CpG DNAハイドロゲル投与群で最も高いOVA特異的免疫応答が誘導され、OVAを発現するEG7-OVA細胞の増殖が有意に抑制された。CG配列をGCに変更したGpC DNAハイドロゲル、あるいはハイドロゲルを形成しないCpG hexapodnaを用いた場合には免疫応答が減弱したことから、OVA特異的免疫誘導にはCpG DNAによる自然免疫の活性化とハイドロゲルとしての機能の両方の重要性が示唆された。
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