公募研究
C型肝炎ウイルス(HCV)は容易に持続感染化し、慢性肝炎から肝線維症、肝硬変を経て高率に肝細胞がんへと進展する。本邦には20万人ものC型肝硬変患者がいると推定され、国内肝硬変患者数の約70%に相当する。高度な肝線維症である肝硬変の治療は困難であり、発症原因であるHCV持続感染の根本治療を目的とした抗ウイルス剤の効果も十分ではない。肝線維症を含む肝硬変を改善する薬剤を開発するためには、免疫系が複雑に寄与する持続炎症による肝線維症から離脱できる方法を見出すことが重要である。そこで我々は、C型肝硬変における線維芽細胞活性化因子TGF-βの下流で活性化されるWnt/β-catenin/CBPシグナルの選択的阻害剤PRI-724に着目し、HCV誘発性肝線維症改善作用と作用機序の解析を行った。選択的Wnt/β-catenin/CBPシグナル阻害剤PRI-724は、HCV遺伝子型1bをスイッチング発現する肝線維症モデルマウスの肝臓中コラーゲン量およびコラーゲン線維を減少させた。薬剤投与後の血清中ALT値上昇は認められず、PRI-724の肝線維症改善作用は細胞死を伴わないことが示された。肝臓中mRNA発現解析により、HCV持続発現により抑制されたマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP-8とMMP-9)の発現がPRI-724投与により誘導されることが明らかとなった。また、これらの主な産生細胞である好中球やマクロファージ数もPRI-724投与により増加し、肝線維症改善作用に寄与することが示唆された。PRI-724は、C型肝硬変に対する治療薬候補となると考えられた
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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