公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
これまでの解析から、ウイルス感染によって細胞内に出現するウイルス由来非自己RNAを検知する感染センサーであるRIG-I-like receptor (RLR)は、宿主細胞内に発現する様々なRNA結合タンパク質(RBP)と共にストレス顆粒(SG)様の凝集体に集積し、機能していることを明らかにしてきた。本研究では、ウイルスによって誘導されるSGの形成に関与するRBPに注目し、その同定と機能解析を行うことで、宿主細胞の感染コンピテンシー制御の分子基盤を理解することを目的とした。平成25年度には、ウイルス感染によって誘導されるSGに含まれるRBPを含めた関連因子を網羅的に同定することを目指した解析を行った。その結果、凝集体を可逆的にクロスリンクした後にRIG-Iに特異的な抗体を用いた免疫沈降を行うことにより、SG成分を含むRNA-タンパク質複合体を部分精製することが可能であることが示唆された。この画分を、領域内での共同研究により質量分析を行うことにより、候補分子の同定を試みる検討を開始している。今後は、得られた因子に焦点を絞りSG形成や細胞応答に与える影響を検討することで、宿主細胞の感染に対するコンピテンシー制御の分子機構を明らかにしてゆきたいと考えている。
2: おおむね順調に進展している
ウイルス感染によって形成されるSG様の凝集体を部分精製することに成功したことは、これまでに同様の報告がないことからも興味深く、研究計画がおおむね順調に進んでいると言える。しかし、精製フラクションに含まれる制御因子の同定にまでは至っておらず、残る研究期間での研究の加速が必要である。
25年度に得られた知見をもとに、SGコンポーネントを大量調整し、そこに含まれる因子を網羅的に明らかにする。また、得られた候補分子について、生理的な機能解析へとつなげる。具体的には、培養細胞に候補分子を強制発現させた場合あるいは発現抑制した場合に、ウイルス感染に対するSG形成や細胞の抗ウイルス応答などを検討することにより、その機能解析を行う。さらに、より生理的な機能を明らかにするために、遺伝子破壊マウスを用いた解析へと進め、それらの生体防御への関与を明らかにすることで、感染に対する宿所コンピテンシー制御の分子基盤を明らかにする。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
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http://www.pf.chiba-u.ac.jp/bunya_kansenmeneki/bunya_kansenmeneki/Mol._Immunol._jpn.html