研究概要 |
本研究は、ウイルス感染後期におけるウイルス蛋白質複合体・ウイルスゲノム複合体・宿主細胞の微細構造変化を、種々の電子顕微鏡法を駆使してメゾスケール(数十~数百ナノメートルレベル)で視覚的に解析することで、マイナス鎖RNAウイルスのウイルス増殖機構を明らかにすることを目的とする。エボラウイルスをモデルとした研究では、マトリクス蛋白質VP40の機能(多機能性)と構造(多量体形成能)の関連を明らかにする。インフルエンザウイルスをモデルとした研究では、ウイルス膜貫通蛋白質M2がどのようなメカニズムで8種類のゲノムを認識してウイルス粒子内に取り込むかを電子顕微鏡法により明らかにする。 今年度は、X線結晶構造解析により、エボラウイルスのマトリクスタンパク質VP40の構造を解いた。解かれた構造からVP40-VP40相互作用領域および疎水性アミノ酸領域に着目し、各種変異体を作製した。さらにそれら変異体の結晶構造を解き、野生型との分子構造および結晶のパッキング様式を比較した。細胞生物学的およびウイルス学的手法を用いてそれらの性状解析を行い、VP40がnativeな状態では2量体として存在すること、それらがassemblyし、脂質膜と結合することで構造変化を起こし、8量体としてフィラメント状ウイルス粒子を形成するというメカニズムを解明した(Bornholdt, Noda et al., Cell, 2013)
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