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2013 年度 実績報告書

ウィルスと宿主の蛋白質間相互作用による抗ウィルス効果の抑制と再活性化の構造基盤

公募研究

研究領域ウイルス感染現象における宿主細胞コンピテンシーの分子基盤
研究課題/領域番号 25115507
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関京都大学

研究代表者

片平 正人  京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードHIV / APOBEC3G / 抗HIV活性 / Vif / リアルタイムモニタリング / NMR
研究概要

ヒトのAPOBEC3Gタンパク質(A3G)は、HIVのマイナス鎖DNAに作用し、シトシン塩基を脱アミノ化してウラシル塩基に変換する。これによってHIVの遺伝情報は破壊され、A3Gは抗HIV活性を発揮する。CCC配列の3番目のシトシン塩基が脱アミノ化反応の標的となるが、CCC配列が5’端近くに位置するほど脱アミノ化反応が早く進行する事を、NMRシグナルを用いたリアルタイムモニタリング法によって見出した。A3GのDNAへの非特異的な結合とDNA上におけるA3Gのスライディングを考慮したカイネティックモデルを構築し、実験結果を解析した。その結果、A3Gの脱アミノ化反応の触媒活性は、A3GがDNA上を上流に向かってスライディングしながらCCCに到達した際の方が、下流に向かってスライディングしながらCCCに到達した際より大きい事が分かった。5’端に近いCCCほど、その下流に結合したA3Gが上流に向かってスライディングしながら当該箇所に到達する確率が高くなるが、その際に触媒活性に上記のような大小関係があると、5’端に近いCCCほど脱アミノ化が早く生じる事になる。
HIVのVifタンパク質は、A3Gに結合しこれを不活化する。我々はヒートショックタンパク質70(Hsp70)がVifと相互作用する事で、A3Gの抗HIV活性を復活させる事を見出した。そこでHsp70とVifの相互作用様式を構造学的に解析して、A3Gの抗HIV活性復活のメカニズムを明らかにする事を目指している。Vifは単体では難溶性で不安定であるが、CBFβ、EloB、EloC及びCul5の各タンパク質と5者複合体を形成する事で可溶化し、安定に存在する事が分かっている。Vifを含めた合計5つのタンパク質の発現系を構築し、これらを共発現する事で構造解析に供するVifを得る事とした。これまでに複数のタンパク質に関して発現系を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NMR法を用いたリアルタイムモニタリングに関し、測定データを適切なカイネティックモデルを用いて解析する事を完了し、APOBEC3Gの動作メカニズムに関する知見を得る事に成功した。またVifとAPOBEC3Gの相互作用の解析に関し、タンパク質発現系の構築が予定通りに進行している。

今後の研究の推進方策

Vifの安定化に必要とされている各種タンパク質の発現・精製を行い、これらのタンパク質の補助により、VifとAPOBEC3Gの相互作用を解析する。またHsp70タンパク質によって、この相互作用を分断する事の可否を検証する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Quantitative analysis of the location- and sequence-dependent deamination by APOBEC3G using real-time NMR2014

    • 著者名/発表者名
      Furukawa, A., Sugase, K., Morishita, R., Nagata, T., Kodaki, T., Takaori, A., Ryo, A. and Katahira, M.
    • 雑誌名

      Angew. Chem. Int. Ed.

      巻: 53 ページ: 2349-2352

    • DOI

      10.1002/anie.201309940

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ヒト抗ウィルス因子 APOBEC3G の基質認識機構及び Vif による APOBEC3G 阻害機構の解明に向けて2013

    • 著者名/発表者名
      神庭圭佑
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド(神戸)
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [備考] 片平研究室

    • URL

      http://www.iae.kyoto-u.ac.jp/bio/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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