研究領域 | メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤 |
研究課題/領域番号 |
25115702
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西丸 広史 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20302408)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経科学 / シナプス / 脊髄 / セロトニン / 運動 |
研究概要 |
本年度は、光感受性色素タンパク質チャネルロドプシン(ChR2)変異体(ChR2(ET/TC))をセロトニン(5-HT)ニューロン特異的に発現する遺伝子改変マウスの繁殖コロニーを確立した。このマウスの新生児の脊髄摘出標本を作製し、腰髄の運動ニューロンからホールセルパッチクランプ記録を行なった。特に、脊髄腹側索において脳幹からの下行路である脊髄腹側を走行するChR2陽性の軸索に対して光刺激を行い、運動ニューロンの膜電位応答を記録するための条件検討を行なった。また5-HTによる脊髄歩行CPG活性化には下部胸髄から上部腰髄(第 11 胸髄-第 2 腰髄)にかけての部分が重要であるので、これらの部位を含む数髄節の脊髄ブロック標本を作製し、セロトニン受容体およびNMDA型グルタミン酸受容体を薬理学的に活性化することによって、脊髄全体の摘出標本でみられるのと同様の頻度と振幅を持った歩行運動様の活動が腰髄運動ニューロン群にされることを見いだした。この際、ホールセルパッチクランプ記録を用いて、単一ニューロンで興奮性シナプス電流および抑制性シナプス電流を詳細に観察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスの繁殖コロニーの確立にやや時間がかかったが、神経回路解析のための実験技術、特に適切な光刺激方法および記録手法の確立を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も引き続き、5-HTニューロン特異的にChR2を発現する遺伝子改変マウスマウス新生児の脳幹・脊髄摘出標本およびスライス標本を用いて、5-HTニューロンによる脊髄の細胞レベルでの制御様式を明らかにしたのち、脊髄神経回路レベルおよび個体レベルに対する制御様式を明らかにする予定である。
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